2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K09235
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
早津 幸弘 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (50747433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋木 佳克 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50372298)
高橋 悟朗 東北大学, 大学病院, 講師 (50526449)
細山 勝寛 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (70837046)
熊谷 紀一郎 東北大学, 大学病院, 講師 (80396564)
神田 桂輔 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (90839507)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊髄虚血 / 対麻痺 / Muse細胞 / 細胞治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,心臓血管外科領域において治療の低侵襲化が進む一方,依然として治療困難な疾患も存在する. 中でも大動脈疾患である胸腹部大動脈瘤の治療においては,侵襲度の高さや術後合併症により術後ADLが著明に低下し,予後を低下させる一因となっている. 対麻痺は重篤な術後合併症の一つであり,未だ治療法は定まっていない. 今回我々は,「術中虚血による炎症反応の抑制」および「失われた神経機能のための脊髄前角細胞の再生促進」がこの合併症の一つの改善策であると考え,ユニークな障害組織遊走能及び自発分化能を持つ幹細胞であるMuse細胞(Multilineage-differentiating stress enduring cells)を用いることを想起した. その炎症組織下における脊髄前角細胞の保護・再生を期待して,対麻痺における治療効果の可能性を探求することとした. 2019年度はウサギを用いた対麻痺モデルの作成を行った. しかし, その後も文献を調べていく上でウサギよりもラットを用いた対麻痺モデルが多いことを知り, 動物実験の3Rの1つであるreplacementにも則り, ウサギより下等なラットを選択することとした. ラットに吸入麻酔(イソフルレン)を用いて麻酔導入・維持を行う. 左第3肋間開胸として, 尾静脈よりヘパリン100IU/kg投与した後, 左鎖骨下動脈5mm遠位で一定時間(16分間)胸部下行大動脈を遮断し, 脊髄虚血モデルを作成する. 行動評価はBBB(Basso, Beattie and Bresnahan) locomotor scaleを用いる. BBB scaleにおいて0-1点であり, 実際に対麻痺を確認でき, 採用することとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度はウサギを用いた対麻痺モデルの作製を行った. 2020年度は方針を変更し, ラットを用いた対麻痺モデルの作成を行なった. ラットに吸入麻酔(イソフルレン)を用いて麻酔導入・維持を行う. 左第3肋間開胸として, 尾静脈よりヘパリン100IU/kg投与した後, 左鎖骨下動脈5mm遠位で一定時間(16分間)胸部下行大動脈を遮断し, 脊髄虚血モデルを作成する. 行動評価はBBB(Basso, Beattie and Bresnahan) locomotor scaleを用いる. BBB scaleにおいて0-1点であり, 実際に対麻痺を確認でき, 採用することとした. 現在は投与するMuse細胞の培養・単離を行っており,今後細胞投与を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
1 対麻痺モデルを用いたMuse細胞の投与: 対麻痺モデルに対し単離・培養されたMuse細胞を経静脈的に投与する。 2 術後神経学的評価: 対麻痺モデル作成後, 1週毎にBBB(Basso, Beattie and Bresnahan) locomotor scale用いて下肢機能評価を行う。 3 術後病理学的評価モデル作成2週および6週後の下肢機能評価後、ラットを犠牲死させ、脊髄標本を採取し、凍結固定ならびにホルマリン固定を行う。それらをH-E 染色した後、病理組織学的に前角細胞の数を比較検討する。また、凍結標本 を用いてqRT-PCR、Microarrayを行いDNA変化も合わせて評価し、メカニズムを解明する。また、下記の項目も併せて評価する。 ・MRI:脊髄画像評価 ・組織学的評価:H-E 染色、Masson-Tricrome 染色、TUNEL 染色、免疫蛍光(神経細胞:NeuN, MAP-2、血管内皮細胞:vWF, CD31、 炎症性細胞:CD68, MCP-1) ・ELISA:抗炎症作用(IL-6, IL-8, IL-10, MMP-2, VEGF, TGF-β1, HGF, IFN-γ, TNF-α)
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Causes of Carryover |
効率的に研究を行った結果、次年度使用額が生じたが、引き続き本研究の消耗品購入に充てる。
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