2019 Fiscal Year Research-status Report
動脈周囲脂肪組織由来間葉系幹細胞の機能評価と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
19K09237
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大坂 基男 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60816544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大根田 修 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30311872)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脂肪組織由来間葉系幹細胞 / 末梢動脈疾患 / 下肢虚血 / 動脈硬化 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の増加に伴い動脈硬化性病変による末梢動脈疾患(PAD)が増加している。特に複数回の血行再建を行っても、動脈硬化の進行により重症下肢虚血に陥る患者は多い。最終的に下肢切断に至る患者も少なくない。これまでにも種々の組織由来の幹細胞による血管再生医療が試みられている。本研究は皮下脂肪由来間葉系幹細胞の末梢動脈疾患の治療への応用、具体的には側副血行路を中心とした血管再生への応用を目的としている。脂肪由来間葉系幹細胞は(AT-MSCs)は採取・培養が容易であり,心筋,血管,骨,軟骨,脂肪組織の再生医療のソースとして着目されている.一方,その治癒効果にはバラツキがあり,患者により年齢や疾患の影響,虚血組織自体がもたらす炎症や酸化ストレスなどの組織を取り巻く微小環境の悪条件および治療に用いた幹細胞自体の機能が大きく影響する.そこで血管周囲脂肪組織由来間葉系幹細胞(PVAT-MSCs)に着目し,病変部周辺で脂肪組織に起きている現象を,皮下組織由来のAT-MSCsと比較検討した.動脈硬化症患者由来のAT-MSCsは健常者と比較し増殖能が低下していることが明らかとなった.また,この細胞はCXCケモカインの活性が増大していた.さらに動脈硬化症の患者において,より血管病変部に近いところに局在しているPVAT-MSCsを解析したところ,増殖能は低いもののSDF-1/CXCR7の発現が高く,より高いEPCを遊走させる能力を有していた.以上の結果より,PVAT-MSCsは病気の進行に関与している可能性が示唆された.今後,肢虚血マウスモデルを作成し,MSCsを虚血部位に移植し下肢血流量や血管密度を計測,虚血組織内のVEGFやbFGF等の関連因子の発現を解析し,その機能を明確にする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血管周囲脂肪組織由来間葉系幹細胞(PVAT-MSCs)と皮下組織由来のAT-MSCsの比較検討は概ね順調に進行している。動物実験の研究計画の策定(研究環境と評価方法の準備)が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス下肢虚血モデル(総大腿動脈と分枝を結紮切離)とコントロールマウス(虚血モデルと同部位の切開操作のみ)を用いて、ヒト皮下脂肪由来間葉系幹細胞を虚血筋肉内に移植した後の虚血肢における血管再生の状況を評価したい。
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Causes of Carryover |
概ね所要額範囲内で支出したが、実支出額との間に若干の余剰の次年度使用額が生じた。現在、動脈硬化症の患者より得られる動脈周囲脂肪組織に局在しているPVAT-MSCsを解析しているが、次年度はこの継続と、肢虚血マウスモデルを作成し,MSCsを虚血部位に移植し、MSCsの機能評価を検討している。必要な物品費と動物実験に関わる諸経費に使用を予定している。
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