2021 Fiscal Year Annual Research Report
動脈周囲脂肪組織由来間葉系幹細胞の機能評価と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
19K09237
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大坂 基男 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60816544)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大根田 修 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30311872)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 間葉系幹細胞 / SDF-1 / CXCR7 / 創傷治癒 / 炎症反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪由来間葉系幹細胞は(AT-MSCs)は採取・培養が容易であり再生医療のソースとして着目されている.一方,その治癒効果にはバラツキがあり,ドナーの年齢や基礎疾患の影響,レシピエントの虚血組織自体がもたらす炎症や酸化ストレスなどの微小環境が大きく影響する.本課題では血管周囲脂肪組織由来間葉系幹細胞(PVAT-MSCs)に着目し,病変部周辺で脂肪組織に起きている現象を,皮下組織由来のAT-MSCsと比較検討した.動脈硬化症患者由来のAT-MSCsは増殖能が低下していることが明らかとなった.またこの細胞においてはCXCケモカインの活性が増大しており動脈硬化がケモカイン活性に影響を与えうることが分かった.さらに動脈硬化症の患者において,より血管病変部に近いところに局在しているPVAT-MSCsを解析したところ,増殖能は低いもののSDF-1/CXCR7の発現が高く,より高いEPCを遊走させる能力を有していた.以上の結果より,PVAT-MSCsは病気の進行に関与している可能性が示唆された.この細胞機能をin vivoで解析するためにマウス背部皮膚に創傷を作成しPVAT-MSCsを患部に移植し解析を行ったところ,治癒能力の促進が見られた.創傷の治癒には単なる組織修復ではなく炎症や血流の改善などさまざまな機能により修復されることから,炎症性サイトカイン等の発現解析,炎症性細胞の遊走の違いなどのin vitroの解析を行う.さらにin vivo解析として創傷の治癒モデルを作成し,MSCsを虚血部位に移植し移植細胞の再生能力を計測する.本研究においてMSCだけでなく近年着目されているMSC由来のEV(細胞外小胞)が炎症反応に関与していることが明らかとなり,創傷治癒に重要な炎症においても作用する事を強く示唆する結果が得られ,一定の成果を上げることが出来た.
|
Research Products
(1 results)