2020 Fiscal Year Research-status Report
補助人工心臓ドライブライン感染制御等のための抗菌ポリマーを用いた部材の開発
Project/Area Number |
19K09240
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寺澤 幸枝 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50566990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 裕司 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378221)
緒方 藍歌 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (70718311)
小土橋 陽平 静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (60723179)
齋藤 明広 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (50375614)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工心臓 / ドライブライン / 抗菌性高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
植込型補助人工心臓は、重症心不全患者の生命予後を劇的に改善する強力なデバイスだが、駆動電源確保のための「ドライブライン」が皮膚を貫通して存在し、常に感染のリスクを包含している。一般的に人工臓器感染は難治性で、心不全患者においては致命的となることも少なくない。また、心臓移植待機期間が 1000日を超える本邦において、いかに感染を制御できるかが、患者の予後 を大きく左右することに疑う余地はない。しかし現状のドライブライン管理に確立した方法はない。 研究代表者らは、殺菌性や化学的安定性を有する抗菌性高分子 Poly[2-(methacryloyloxy) ethyl] trimethylammo- nium chloride; Poly(METAC) を基材とした長期安定的な抗菌作用を有する新規感染制御材料の創出を試みた。 poly(METAC)を含有する各種共重合体を合成し、ポリビニルアルコール(PVA)と混合することで高分子フィルムや高分子繊維の成形加工に成功した。共重合体はPVAと複数種の架橋構造を形成するために、カルボキシ基およびベンゾオキサボロール基も含有する。この共重合体は、ヒト細胞や赤血球に対し高い生体適合性を示した。しかし、フィルム化および繊維化に伴ってpoly(METAC)の含有量が減少し、抗菌性が低下することが明らかとなった。これを解決するため、フィルムや繊維の表面を、簡便な手法を用いpoly(METAC)を高含有する高分子にて修飾することに成功した。また、修飾した高分子繊維上で大腸菌は膜破壊を起こし抗菌効果を示すことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画どおりにすすんでいるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、対象とする細菌を、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に拡張し、補助人工心臓ドライブライン感染抑制等のためのプロトタイプを作成する。プロトタイプをラット皮下へ埋植し、高分子の形状観察や組織学的所見を行う予定である。
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Causes of Carryover |
情報のアップデートのための国内外調査研究旅費を計上したが、開催された学会や研究会はweb参加であったため旅費を使用しなかった。また、本年度はポリマー条件検討が主体であったため、動物実験に必要な経費(動物購入費や実験動物施設利用費)の使用額に差が生じた。次年度では、動物実験を行う予定であるため、評価のための試験試薬や動物購入費や実験動物施設利用費として使用する予定である。また、成果報告として論文の外国語校閲や投稿料として使用する。
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