2020 Fiscal Year Research-status Report
心筋幹細胞移植による心機能再生メカニズム解明とcell-free再生治療法の開発
Project/Area Number |
19K09246
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鈴木 亮 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10570319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美甘 章仁 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (30372709)
濱野 公一 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60263787)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性心不全 / 心筋幹細胞 (CDCs) / 細胞シート移植 / 陳旧性心筋梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
<背景>本邦において慢性心不全は主要な死因であり続けている。難治性心不全に対する心移植はドナー不足という課題があり、普及に至っていない。喪失した心機能を改善させる戦略として、心筋幹細胞 (cardiosphere-derived cells (CDCs))などを使用した細胞シート移植が以前より注目されてきた。動物モデルでの検討から、この戦略の有効性が報告される一方で、機序については不明な点が多い。移植した幹細胞が心筋細胞に分化することは稀であること、幹細胞が分泌する成長因子がレシピエントの心臓に作用して心機能を保つ(改善させる)ことが最近になって明らかにされた。 <目的>本研究はマウスの陳旧性心筋梗塞モデルを使用し、CDCsシート移植による心機能改善効果および分子機構を明らかにすることを目的とする。前述したパラクライン効果について、特に注目している。 <方法・結果>昨年度までにCDCsシートの作成、マウス陳旧性心筋梗塞モデルの作成を行い、おおむね到達目標を達成していた。本年度以降はシート移植による心機能改善の評価、分子機構の解析などを予定していた。近年、CDCsに限らず間葉系幹細胞(MSCs)やiPS細胞由来心筋細胞(iPSC-CMs)を用いた細胞移植療法において、移植細胞が生存・生着することは稀であり、生着よりむしろ、それらが分泌する成長因子やexosomeが、心機能改善の主たる要因であることが明らかにされている。本研究でもシート移植に先立ち、複数の幹細胞を用いて成長因子の分泌やexosomeについて解析することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
間葉系幹細胞(MSCs)および心筋幹細胞 (cardiosphere-derived cells (CDCs))を単離し、細胞数など諸条件を揃えて培養した。成長因子の分泌能やexosomeについて解析を行った。両者に大きな差は認めなかったが、おおむねCDCsの優位性が確認された。CDCsが分泌するexosomeを使用したin vivoの実験を今後は予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスMIモデルにCDCs由来exosomeを含有するシートを移植し、心機能の改善効果を評価する。組織学的解析と心エコーによる機能評価が中心となる。機能回復が得られた場合は、その機序を探索する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で学会がキャンセルやweb開催となり、宿泊費・移動費を抑制することになった。動物モデルを予想より順調に確立でき、動物購入費などを抑制できた。この未使用額については、令和3年度の研究費と併せて、エクソソームの精製や分析に要する試薬の購入に充てる。
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Research Products
(18 results)