2021 Fiscal Year Research-status Report
脂肪幹細胞由来神経細胞による胸腹部大動脈術後虚血性対麻痺に対する新規治療法の開発
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19K09248
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
清水 雄介 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10327570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神里 興太 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10554454)
角南 寛 琉球大学, 医学部, 特命助教 (50374723)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脂肪幹細胞 / 脊髄虚血 / 細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1)ラットからの「脂肪採取、脂肪幹細胞抽出、培養」、2)「脂肪幹細胞から神経細胞への誘導」、3)「ラット脊髄虚血後痙性麻痺モデルに対する細胞移植」という3つの計画を軸としている。本年度は昨年度から引き続いてこれら3つの研究を継続した。1)「脂肪幹細胞採取、脂肪幹細胞抽出、培養」に関してはラットから脂肪採取を行った後、脂肪幹細胞を抽出する実験を継続した。この抽出した脂肪幹細胞を培養し、安定的に増殖させる技術を確立した。また2)「脂肪幹細胞から神経細胞への誘導」に関しては、過去の報告を参照しながら複数のテスト培地を用いて脂肪幹細胞から神経細胞への誘導を試みた。いくつかの方法を試みたが、明確に神経細胞へ分化していることを確認することはできなかった。3)「ラット脊髄虚血後痙性麻痺モデルに対する細胞移植」に関しては、昨年度まで行っていた健康体への移植、免疫不全モデルへの移植を繰り返して手技を成熟させた。また実際に虚血性脊髄神経細胞障害を生じている対麻痺モデルに対して、野生型SD系ラットから採取した脂肪幹細胞を分化させずに脊髄軟膜下へ直接移植する実験を行った。その際、生着を促すためFK506とステロイドによる免疫抑制下に移植を行った。現時点で脂肪幹細胞移植を契機に運動機能が回復した個体を認めていないが、運動機能低下をきたした個体も認めていない。脊髄軟膜下投与による運動機能低下は認めておらず、手術手技自体の安全性は確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れている。 SD系ラットからの1)「脂肪幹細胞の採取・培養」、3)「ラット脊髄虚血後痙性麻痺モデルに対する脂肪幹細胞胞移植」に関しては十分に実施できている。しかし2)「脂肪幹細胞から神経細胞への誘導」に関して、これまでの分化に成功できたという報告から脂肪幹細胞を神経細胞へ分化させる試みを繰り返したが分化の確認が行えなかった。また新たな培地を用いた分化手法を実施したが、明確な神経細胞への分化を確認することが出来なかった。そのため虚血性脊髄神経細胞障害を生じている対麻痺モデルに対して、神経細胞ではなく脂肪幹細胞を分化させずに軟膜下へ移植する形に切り替えることとなった。脂肪幹細胞移植を契機にしたさらなる運動機能の低下した個体は認めず手術手技の安全性は確認できたが、運動機能が回復した個体も認めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1)「脂肪幹細胞の採取」に関しては問題なく実施できているため、さらに安定した脂肪幹細胞の抽出・培養を継続していく。2)「脂肪幹細胞から神経細胞への誘導」に関して、これまでの分化に成功できたという報告から脂肪幹細胞を神経幹細胞へ分化させる試みを行ったが分化の確認が行えなかった。さらに新たな培地を用いた分化手法を実施し神経細胞への分化を確認する。3)「ラット脊髄虚血後痙性麻痺モデルに対する細胞移植」に関して、軟膜下移植手技自体の安全性は確認することができているため、この系を用いて脂肪幹細胞移植後の移植細胞の動態を把握することに努める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により研究が遅延したため。ラット脊髄虚血後痙性麻痺モデルに対する細胞移植の件数を増やし、細胞動態の把握に努める。
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