2020 Fiscal Year Research-status Report
Creation of precision medicine for aortic disease by comprehensive gene analysis
Project/Area Number |
19K09254
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
岡田 隆之 関西医科大学, 医学部, 講師 (60421278)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大動脈疾患 / 大動脈瘤 / 大動脈解離 / 網羅的遺伝子探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈疾患への網羅的探索に際して、臨床データベースの構築をすすめてきた。 大動脈解離と大動脈瘤での2群間の患者背景因子や、術式の選択に影響する発生部位や症状での差異が確認できている。内訳としては、大動脈疾患の背景因子として既知の高血圧症や脂質異常症、糖尿病との関与が精査できている。さらに腎嚢胞や肝嚢胞などの実質臓器嚢胞の合併、腕頭動脈と左総頚動脈同一起始の先天性血管分枝異常などの合併が新たに示唆されており、今後は各疾患との遺伝的素因との相関を検討する。 一方、急性大動脈解離に関しては、その発症タイミングは予測不能とされているが、データの蓄積により遺伝的素因から発症時期の推定ができれば臨床的に意義深い結果となる。また、併存疾患や内服治療歴などの多因子にわたる臨床情報が得られており、遺伝子解析時のマッピング作成やナショナルデータベースとの比較に有用と考えている。 またCOVID-19の影響下で症例数のみならず、症状自覚から通院するタイミングや、疾病発症から初期救急診療へのタイミングが従来と異なっていることを体感している。これらは疫学的に患者背景因子として追加する情報か検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実臨床でのCOVID-19関連の影響は示唆されている。 症状自覚から通院するタイミングや、疾病発症から初期救急診療へのタイミングが従来より遅くなっていることを体感しており、疫学的に患者背景因子として追加する情報か検討している。上述のデータベース構築の進捗が得られており、今後の遺伝子解析後の情報と相補的な結果が待たれる。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床で採取された検体からの遺伝子情報をもとに、ナショナルデータベースとの比較や、臨床データベースとの相関を検証する。大動脈疾患の発症素因として、遺伝子情報や修飾された後天的因子の同定が待たれる。さらに、修飾因子が遺伝的合併疾患との高い相関が認められた場合は、背景因子の同定はもとより疾患の重症度や発症時期に関しての知見が得られると考える。遺伝子情報を軸とした大動脈疾患の精査にて、大動脈瘤の罹患時期や救命困難とされている急性大動脈解離の発症タイミングを予測できれば、今後はプレシジョンメディシンへの応用が可能と考えている。
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Causes of Carryover |
データベース構築に時間を要しているため、検体を用いた遺伝子検索は次年度に施行する。 前述のCOVID-19パンデミック下の影響を臨床現場では受けざるを得ないが、遺伝子解析から評価に移行されれば計画の進捗期待できる。
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