2019 Fiscal Year Research-status Report
延伸ポリテトラフルオロエチレン製人工血管の器質化を促進するコーティング素材の開発
Project/Area Number |
19K09262
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 利夫 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80802694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 晃太 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (00753542) [Withdrawn]
田口 光正 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 上席研究員(定常) (60343943)
保科 克行 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90571761)
大山 智子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主任研究員(定常) (90717646)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工血管漿液腫 / 人工血管器質化 / ガンマ線架橋コラーゲンハイドロゲル / 人工血管被覆 |
Outline of Annual Research Achievements |
延伸ポリテトラフルオロエチレン(expanded polytetrafluoroethylene、以下ePTFE)を材料として作成された人工血管は、移植後5~20%程度の頻度で人工血管周囲に液体貯留を来す、漿液腫が発生することが知られている。その明らかな原因は不明であるが、ePTFEが高度に疎水性であることは知られており、 そのため移植後周囲組織の創傷治癒機転が妨げられ器質化が遷延する結果、異物である人工血管周囲に貯留した組織液が有効に吸収されないというメカニズムが考えられる。従って何らかの器質化促進効果を持つ素材で ePTFE製人工血管表面を被覆すれば、移植後速やかに周囲組織と親和し異物反応が抑えられ、結果として漿液腫の発生が予防できる。ガンマ線架橋コラーゲンハイドロゲル(Rxゲル)は、硬度を自由に調節できることや薬剤徐放能を有することより、器質化促進素材として有望である。 現時点までに、ラットを用いた動物実験によるRxゲル自体の器質化促進能の最適条件の測定と、その結果に基づいて作成されたRxゲルコーティングePTFE人工血管の器質化誘導機能評価が終了しその有効性が示されたため、次の段階であるRxゲルへの器質化促進薬剤徐放機能の付与を目指した実験の準備を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所先端機能材料研究部(以下、量研と呼称する)との共同研究である。量研より提供されたサンプルを当施設において動物実験評価し、結果を直ちに量研に伝えて新たな素材の提供を受ける。このような緊密な連携により順調な進捗が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
Rxゲル単独での良好な人工血管器質化効果が確認されたため、ここまでの成果を2020年度中に特許として出願し、学会発表と論文投稿も行う予定である。 現在、次の段階であるRxゲルへの器質化促進薬剤徐放機能の付与を目指した実験の準備を行っている段階である。
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