2019 Fiscal Year Research-status Report
筋収縮・弛緩応答を可能にする循環器系組織工学基材の開発と移植用小口径血管への応用
Project/Area Number |
19K09266
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
宮本 啓一 三重大学, 地域イノベーション学研究科, 教授 (70252343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
晝河 政希 三重大学, 工学研究科, 助教 (40823456)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エラスチン / コラーゲン / フィブリリン / 拍動培養 / 人工血管 / 再生医療 / 収縮弛緩 / リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は申請者らが開発した生体材料である伸縮性線維シート、連続孔弾性線維ゲル、膠原線維シートおよび、平滑筋細胞、内皮細胞の動的刺激培養を複合化させ、生体物質のみの構造・機能を模倣再現した小口径人工血管の作製を目的としている。同時に血管収縮・弛緩応答が生体血管と同期でき、リモデリングにより自己組織化され力学特性が維持し続ける特徴を有する材料の開発を目指す。 1年目では、エラスチン、フィブリリン、コラーゲンから作成したファイバーシート、連続孔ハイドロゲルを平滑筋細胞の足場材料として、血管中膜を模した多層構造での人工血管を作成した。作成した人工血管と生体血管(ブタ)の構造の組織切片および蛍光顕微鏡による観察を通じで比較し、両者が非常に類似した構造であることを確認できた。 細胞培養は静的条件および、血管の拍動を模した動的条件の2種類で行い、そのリモデリング効果を構造的観察と力学挙動的観察の2種類で行った結果、拍動培養による効果が特に力学挙動の維持に現れることを確認した。 リモデリングのコントロールは細胞が産生するマトリックスの再構築による強度増加と、初期の足場材料の分解による強度低下との調和により達成される。そのため、増殖因子、動的刺激、分解阻害剤とのバランスを保ちつつ強度維持状態で培養可能な条件の確立が重要で、そのためのリアルタイムのモニタリングができる動的刺激培養装置の試作に成功した。更に、マトリックス産生能の評価、遺伝子発現の評価、分解酵素活性の評価など、本研究において必要な基本的評価法の確立を終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内径4mm程度の血管のための静的培養および動的培養装置の開発は試作1号機が完成した。現在は長期培養および多検体同時培養器としての2号機の開発を行っている状況。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、内皮細胞と内膜構造の模倣と、1年目に開発した中膜構造との複合による人工血管を作成し、模擬的な血液による血栓形成能の評価や、降圧剤などの投与による血圧の収縮弛緩応答などのモニタリングが可能な培養装置に改良し、移植に向けた実用的な小口径人工血管の開発を進める。
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Causes of Carryover |
試作2号機の作成計画を年度内に行う予定が、1号機の作成に時間がかかり年度内に終了しないため、次年度に繰り越して使用するため使用額に変更が生じた。ただし、これにより、予定している2年目計画が特に大きく遅れることはない。
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Research Products
(3 results)