2020 Fiscal Year Research-status Report
人工心肺使用手術が生体のHMGB1/HRG バランスに与える影響の網羅的検討
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19K09269
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大澤 晋 岡山大学, 大学病院, 講師 (20643414)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HMGB1 / HRG / 人工心肺 / 溶血 / 心筋虚血 / ヘパリン / プロタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、当施設の倫理員会の承諾を得た上で、患者から本研究への同意書を得て、当科の人工心肺心臓手術周術期のヒト血液検体を採取している。採血のタイミングとしては、麻酔導入前、ヘパリン投与後(人工心肺導入直前)、人工心肺終了後、MUF(透析)終了後プロタミン投与前後、術後1日目とした。11例の検討において、人工心肺とHMGB1/HRGの挙動に関連性があることが示唆された。人工心肺中、HMGB-1の血中濃度は著しく増加し、人工心肺終了後と共に、急激に低下、術後1日目にはほぼ性状レベルにほとんどの症例でもどった。プロタミン投与で急激にHMGB-1が変化しており、プロタミンの影響も可能性としては考えられ、動物実験での立証が必要と思われた。 今年度は、ヒト検体のサイトカイン変化の追加データをえると共に、ヘパリンとプロタミンによって、HMGB-1やHRGの血中濃度が変化していないか?確認を行った。実験動物にはラットを用い、対照群、ヘパリン投与群、プロタミン投与群で、ヘパリンやプロタミン投与前後でHMGB-1やHRGに変化がないかを確認した。特にヘパリンはHRGと結合し、HRGの濃度に影響を与える懸念があった。結果としては、ヘパリン投与やプロタミン投与で特にHMGB-1やHRGが増減することはなく、ヒト検体で得られた濃度変化は、純粋に手術侵襲と、人工心肺による影響によるものをほぼ確定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト検体の採取は順調で、人工心肺使用心臓手術におけるHMGB1/HRGの挙動に関する一定のデータを得ることができた。また、動物実験を比較的順調に推移し、概ね計画通りの進捗といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
対象を小児心臓手術に限定し、手術前の全身状態(チアノーゼ性vs非チアノーゼ性、肝障害ありvsなし)などから疾患と術式をグループ分けできるように、引き続き検体を採取する。そのデータを元に、人工心肺使用心臓手術におけるHMGB1/HRGの挙動を明らかにし、抗HMGB1抗体による人工心肺中臓器保護の可能性を探っていく。
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Causes of Carryover |
少額だが、消耗品購入経費が予定より少なくなった。次年度の消耗品経費として使用予定である。
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