2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K09288
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮田 義浩 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (50397965)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胸腺腫 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺上皮細胞より発生する胸腺上皮性腫瘍(TET)は進行例では難治であり、近年免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の臨床応用が期待されている。しかし胸腺上皮細胞は胸腺において自己を攻撃するT細胞を排除する中枢免疫寛容を司るため、胸腺上皮細胞より発生するTETについては、その免疫逃避機構が他の固形癌と全く異なる可能性がある。本研究の目的はTETの独特な免疫逃避機構を解明し、ICIの効果予測、有効な使用法を解明することである。 研究に先立ち当科に保存しているヒト肺癌検体を用いて、免疫染色による腫瘍および浸潤リンパ球(TIL)の解析を行った。腫瘍およびその周囲組織のTILにおけるPDL-1, PD-1, CD4, CD8, FOXP3, MHCのタンパク発現を免疫組織化学染色にて調べ、PDL-1陽性細胞率とTILの特徴を検証した。この結果を踏まえ、既に当科に保存しているヒト胸腺上皮性腫瘍、正常胸腺を用いて、免疫染色による腫瘍および浸潤リンパ球(TIL)の解析を行っている。 フローサイトメトリー(FACS)を用いたTILの解析のために、手術で切除した新鮮検体から正常胸腺、腫瘍部を別々に細断し、dissociatorにより細胞を単離する技術を開発した。現在までに6例の新鮮検体ストックの保存に成功した。20例程度にストックを増やし、FACSによりPDL-1, PD-1,CD4, CD3, CD8などを解析する予定である。更に制御性T細胞(Treg)分画を正常胸腺、腫瘍部ごとに測定、解析し、TETの臨床病理学的因子との関わりを調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ICI効果の確定しているヒト肺癌検体を用いた免疫染色による腫瘍および浸潤リンパ球(TIL)の解析により、免疫染色手技、解析方法などは既に確立できた。胸腺組織は肺癌とは異なるものの、同様な手法で染色、解析可能であることが確認できており、検体数を追加するだけとなっている。 更にフローサイトメトリーを用いたTILの解析のための新鮮手術検体からの細胞分離に成功し、そのストックの保存に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記進捗を踏まえ以下の研究を進めていく。 1、免疫染色による腫瘍および浸潤リンパ球(TIL)の解析(保存検体):腫瘍およびその周囲組織のTILにおけるPDL-1, PD-1, CD4, CD8, FOXP3, MHCのタンパク発現を免疫組織化学染色にて調べる。PDL-1陽性細胞率とTILの特徴を検証する。 2、NGSによる体細胞変異数(TMB)解析(保存凍結検体、血清):次世代シークエンサー(NGS)を用いたtarget sequenceによりIon AmpliSeq Comprehensive cancer panelの409のtumor suppressor geneおよびoncogeneを解析する。 3、フローサイトメトリー(FACS)を用いたTILの解析(新鮮検体):手術で切除した新鮮検体から正常胸腺、腫瘍部を別々に細断し、dissociatorにより細胞を単離したのち手術で切除した新鮮検体から正常胸腺、腫瘍部を別々に細断し、dissociatorにより細胞を単離したのちFACSによりPDL-1, PD-1,CD4, CD3, CD8などを解析する
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Causes of Carryover |
昨年度に培地や液体窒素などの実験用品を購入して、実験に使用する予定であったが買わなくなり、次年度に持ち越しをしたため。 次年度の使用計画は、研究に必要な実験用品(試験管、液体窒素、試薬品など)を購入する予定である。
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