2021 Fiscal Year Research-status Report
ブレオマイシン誘導性肺線維症モデルにおける骨髄由来VEGFR1陽性細胞の役割
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19K09291
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
松井 啓夫 北里大学, 医学部, 助教 (00365123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江島 耕二 北里大学, 医学部, 准教授 (30327324)
天野 英樹 北里大学, 医学部, 教授 (60296481)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺線維症 / VEGFR1 / VEGFR1-TK / SDF-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺に集積したVEGFR1陽性細胞が線維化に関与するか否かを確認するために①CXCR4中和抗体を投与後VEGFR1陽性細胞の集積と肺の線維化が関与するか②肺組織で線維化マーカーが発現しているか③VEGFR1-TKの骨髄細胞を移植したWTマウスに肺の線維化が抑制されるか否かの3つの検討を行った。 ①肺線維化抑制効果の検討:WT及びVEGFR1-TKKOでモデル作製後、4週間、CXCR4中和抗体を隔日に腹腔内投与した。肺組織での線維化面積の測定:線維化領域の面積はWTと比較しTKKOにおいて有意に抑制を認めた。WTにおいてCXCR4 抗体投与群は対照群と比較し有意に線維化領域の面積の低下を認めたが、TKKOでは両群で有意差を認めなかった。肺の機能的評価の検討:対照群では、WT マウスはTKKO マウスと比較して、組織エラスタンスの減少、静的コンプライアンスの増加を認めた。CXCR4 抗体群では、WTは組織エラスタンスの増加と静的コンプライアンスの有意な減少を認めたがTKKOでは有意差を認めなかった。肺組織に集積するVEGFR1陽性細胞数の測定:肺組織に集積したVEGFR1 陽性細胞数はWTと比較しTKKOでは有意に低下を認めた。WTにおいてCXCR4 抗体投与群は対照群と比較し肺組織に集積するVEGFR1陽性細胞が有意に抑制されたがTKKOでは両群に有意差を認めなかった。 ②VEGFR1陽性細胞の線維化マーカー(S100A4、type1 Collagen、TGF-β)の発現効果の検討:qPCRによる線維化マーカーの発現は、WT と比較しTKKOで有意な低下を認めた。FACSでVEGFR1陽性細胞を抽出したが、qPCRに必要なRNA量を抽出することができなかった。 ③骨髄移植による肺の線維化の抑制効果の検討:放射線照射装置が故障した為、移植実験を延期した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FACSによるVEGFR1陽性細胞の十分な抽出が出来ず、また放射線照射装置の故障により移植実験の延期を余儀なくされたが、肺線維化抑制効果とVEGFR1陽性細胞の線維化マーカー発現の検討は実施できたため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
WT及びTKKOで肺組織に集積したVEGFR1陽性細胞における線維化マーカーの発現量に差があるか否かを検討することは非常に重要である。今後、これを解析するためにFACSを用いた抽出過程の工夫が必要である。 WT及びTKKOで集積したVEGFR1陽性細胞での線維化マーカーの発現に差を認められない場合、VEGFR1陽性細胞の肺への集積が重要な役割を担っている可能性がある。これを証明するため、VEGFR-1TK阻害薬やSDF-1を用いた実験系を計画する必要がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により、当初予定していた実験が大幅に遅れた。そのため本年度も研究費を予定通り使用することが出来なかった。現在は、研究時間を十分取ることができるようになったため、残りの検討課題を遂行するために研究費を使用する。
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Research Products
(1 results)