2021 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム医療を目指した遺伝子異常に基づく悪性中皮腫発症機構の解明と治療標的の探索
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19K09292
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
シバスンダラン カルナン 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30557096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 秀樹 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, 客員研究員 (90303619)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 悪性胸膜中皮腫 / ゲノム編集 / NF2 / p16INK4a / 脂肪酸合 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性胸膜中皮腫(MPM)はアスベスト暴露に関連し、患者数は年々増加し、2000年から2039年までの40年間でMPM患者の死亡者数は10万人を超えると予測されている。患者の多くは進行した状態で診断され、化学療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が行われているが、その効果は極めて限定的である。悪性中皮腫では、分子標的薬の直接的な標的となるがん遺伝子の変異の頻度は少なく、癌抑制遺伝子である細胞周期制御遺伝子CDKN2A,神経線維腫症2型遺伝子NF2, BAP1の不活化変異が高頻度に検出される。しかし、これらの癌抑制遺伝子異常が中皮腫の発症にどのように関与するのかは未だ不明であり、中皮腫の発症と進展に関わる分子病態の解明と新しい治療薬の開発が切望されている。本年度申請者は、正常中皮細胞 (MeT-5A, HOMC)に対してゲノム編集を行い、NF2、p16 INK4a、BAP1の単一遺伝子欠失細胞や、(NF2-/-,p16 INK4a-/-) 二重欠失細胞を樹立した。そしてこれらの遺伝子欠損細胞を用いた400種類の阻害剤ライブラリースクリーニングを行い、二重欠失細胞に特異的な増殖抑制効果を示す脂肪酸合成経路の阻害剤を見出した。また、化学療法剤であるシスプラチンやペメトレキセド処理と比較して、脂肪酸合阻害剤単独処理で、細胞生存率の有意な低下が認められた。さらに、NF2/ p16INK4a二重欠失株を脂肪酸合阻害剤単独処理で、Aktやp70/S6キナーゼのリン酸化阻害を伴ったアポト-シスが誘導された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画通りに解析が施行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに1600個の化合物ライブラリーを準備し、各種欠失株でMTTアッセイスクリーニング試験を行い、特異的阻害効果を示す新たな化合物の探索と同定を目指す。同定された薬剤については、ヌードマウスなどの免疫不全マウスの胸膜や皮下に移植して薬剤の腫瘍形成能に与える影響を調べる。また、パラフィン固定された臨床標本で免疫染色を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で海外から品物入荷が遅れたため。 遺伝子異常に基づいた阻害剤の探索と創薬向けた基礎的検討を行う。具体的には(NF2-/-,p16INK4a-/-)二重欠失細胞を用いて1600個の化合物ライブラリーを準備し、各種欠失株でMTTアッセイスクリーニング試験を行い、特異的阻害効果を示す新たな化合物の探索と同定を目指す。同定された薬剤については、ヌードマウスなどの免疫不全マウスの胸膜や皮下に移植して薬剤の腫瘍形成能に与える影響を調べる。また、パラフィン固定された臨床標本で免疫染色を行う。
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Research Products
(6 results)