2019 Fiscal Year Research-status Report
ネクロプトーシスを標的とした肺移植後虚血再灌流肺傷害に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
19K09303
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
狩野 孝 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70528455)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 正人 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847)
大瀬 尚子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10570559)
舟木 壮一郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50464251)
新谷 康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90572983)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 肺移植 / 虚血再灌流障害 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺移植は本邦でも確立された治療法であるが、その治療成績は他の臓器移植と比べて不良であり、その改善が急務である。虚血・再灌流肺傷害はその治療成績に影響することが知られているが、有効な制御法は確立されていないのが現状である。 先行研究から虚血・再灌流肺傷害の病態に細胞死が深くかかわることが証明されており、細胞死を標的としたグラフト機能改善の新規戦略が期待される。申請者は細胞死の一つであるネクロプトーシスにかかわる経路を抑制することで、虚血・再灌流肺傷害が軽減することを示してきた。本研究では、細胞死とくにネクロプトーシスの制御による肺移植後の虚血・再灌流肺傷害に対する新規治療法の開発を目指し、ネクロプトーシス経路のうちどの分子を阻害することで最も効果的な肺移植後虚血・再灌流肺傷害に対する治療となりうるか細胞実験やラット肺移植モデルを用いて比較検証することを研究の目的としている。 この観点から申請者らは、ネクロプトーシス経路の分子、つまりRIPK-1, RIPK-3あるいはMLKLのうちどの分子を阻害することで肺移植後虚血・再灌流肺傷害に対する最大限の治療効果を得ることができるか、を念頭に研究をすすめている。これまでにRIPK-3やMLKLなど特定の分子を標的とした阻害薬を用いた実験を細胞実験にて遂行しており、解析の途中段階である。また細胞実験のデータをもとに有望な化合物を動物実験にてテストする予定である。 動物実験にて採取された組織サンプルを解析することで、メカニズムの解析も行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では細胞実験とともにラット肺移植実験モデルの確立が必須である。この技術は臨床外科医であっても安定した結果を出すには非常に多くの実験経験と習熟が必要である。このモデルの安定に時間がかかったため、予定よりも遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
動物実験モデルが安定してきており、細胞実験にて効果が期待できる化合物の選択もすすめている。個別の化合物をテストするのみならず、化合物スクリーニング実験も並行して行っており、虚血再灌流肺傷害を抑制する化合物の探索を継続する。動物実験で結果が出た際には、メカニズムの解析を試みる。
|
Causes of Carryover |
コロナ肺炎拡大により予定していた出張がなくなったため。繰り越しした金額は次年度の物品費に充てる予定である。
|