2020 Fiscal Year Research-status Report
新たな自律神経スクリーニング法の開発・評価と周術期管理への応用
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19K09318
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 誠 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50236634)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | squatting test / baroreflex sensitivity / cardiovagal baroreflex |
Outline of Annual Research Achievements |
近年注目されている新しい自律神経機能測定法にSquatting Test(立位~蹲踞~立位)がある。Squatting Testは簡便で非侵襲的だが、研究者によって測定方法が異なるため、研究結果の比較ができず、その臨床応用を妨げている。本研究では、繰り返すSquatting Testによって計測される圧受容体反射の感受性が最適な相関係数を示すインターバルを求めることでSquatting Testの方法論を確立し、その後の臨床研究に繋げていく。 【具体的内容】 ①心疾患、呼吸器疾患、代謝性疾患のない20歳以上65歳未満の健康成人20人(業者委託、学生ボランティアを募集、麻酔科外来に掲示し募集)を対象とする。試験24時間以内の禁酒、禁煙、カフェイン摂取の禁止を指示する。朝食はカフェインを含有する飲料以外は通常通りとし、午前9時より手術室で研究を開始する。②右中指に非観血的動脈圧(フィナプレスTM)を装着する。③Squatting Test(stand→squat→stand)をそれぞれ30秒サイクル、1分サイクル、3分サイクルで2回ずつ施行する。施行する3つのインターバルはランダムに選択する。④血圧の変動に伴うパルスインターバルと収縮期血圧をプロットし、線形解析から動脈圧受容体反射の感受性を計測する。⑤それぞれのインターバルで計測された動脈圧受容体反射の感受性2つの計測値の相関係数ならびにP値を求める。また、Bland-Altman解析からbiasとlimit of agreementを求める。⑥途中、気分が悪くなったり継続が難しい場合は試験を中断する。⑦個々の被験者より取得する観察項目:年齢、性別、身長、体重、パルスインターバル、収縮期血圧、動脈圧受容体反射の感受性
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染症の拡大に伴い、本学附属病院のstageがII→IIIに上昇したことでボランティアを使った研究に遅れが生じたが、昨年度末にフェーズ2を終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度から(順序を変更して)フェーズ1に進む予定であるが、健常ボランティアを使った研究なので、附属病院のstageがIIになれば再開できると考えている。その際は以下のプロトコールで介入研究を行う。 ①試験開始24時間以内は禁酒、禁煙とし、カフェイン摂取を禁止する。朝食はカフェインを含有する飲料以外は通常通りとする。 ②試験は午前9時より開始する(於、筑波大学附属病院けやき棟3階手術室)。③手術室入室後、左手の中指に非観血的動脈圧(フィナプレスTM)を装着する。④「立位→蹲踞~立位」を一定の間隔で2回以上繰り返し、血圧の変動に伴うパルスインターバルと収縮期血圧を解析することで動脈圧受容体反射の感受性を計測する。⑤次に、手術室のベッドの上で10分間、安静な状態で血圧と脈拍の自然な変動を観察します。⑥仰臥位で血圧と心拍数が安定した後、末梢静脈路よりphenylephrine (100-200 mcg)、nitroprusside (50-100 mcg)を投与し約20 mmHgの血圧変動を伴う昇圧・降圧試験を行い、昇圧試験の感受性(pressor test sensitivity)、降圧試験の感受性(depressor test sensitivity)を計測する。⑦血圧と心拍数が安定したのち、臥上安静時の動脈圧を10分間測定・記録しspontaneous sequence 法によるup-sequence baroreflex sensitivity, down-sequence baroreflex sensitivityを計測する。⑧Squatting法で求めたbaroreflex sensitivityと標準的な方法で計算したbaroreflex sensitivityの相関を求め、Squatting法の有用性を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症拡大により、ボランティアを使った介入研究を進めることができなかった。また、間接研究も終了したのは年度末であった。本院の規定により出張は原則禁止され、学会出張費はかからなかった。来年度は附属病院のStageがIIに下がることを期待し、介入研究を加速させ、その結果を学会発表に結び付けたい。
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