2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular hydrogen inhalation reduces brain damage after cardiopulmonary bypass and protects vascular endothelial glycocalyx
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19K09324
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
加藤 孝澄 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (80204478)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工肺 / 体外循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はラット人工心肺モデルを用いて脳の虚血再還流障害・血管内皮グリコカリックスの損傷を引き起こし、分子状水素の脳障害の低減・血管内皮グリコカリックス保護効果を解明する研究を計画した。本研究で分子状水素吸入の効果が明らかになれば、血管内皮グリコカリックス保護の新しい知見を得られる。また心臓手術患者の術後脳障害を予防するあるいは低減させる可能性があり、臨床医療にも貢献すると考えられる。本研究の目的は、ラットCPBモデルを用いてCPB後のグリコカリックス損傷に対して分子状水素吸入が保護効果を示すかどうか、CPB後の脳障害に効果を示すかどうか、を解明することである。ラットCPBモデルの作成>雄性13週齢Sprague Dawleyラットを用てCPBモデルを作成した。2%イソフルラン投与による全身麻酔下に気管切開、脱血管挿入、送血管挿入を行い、人工心臓、人工肺、脱血リザーバ装置はを設置した。 現時点では、脱血の流量が少し不足しており人工肺側の流量が不足気味ではあるが、CPBモデルは完成したと考えられる。・血清中のグリコカリックスが破壊された際に放出される物質濃度(シンデカン-1、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸)・血清中の炎症性蛋白濃度(HMGB-1、TNF-alpha、IL-6)の計測を行った。検量線は、予定通り引くことができたが、実際の測定では、非現実的な測定値となってしまった。透過型電子顕微鏡で、血管内皮グリコカリックス厚を観察し厚が保持されているか ・グリコカリックスが破壊された際に放出される物質(シンデカン-1など)が減少するかは、今年度では行えなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットCPBモデルで、予定量の肺循環がまだ得られていない。脱血液管の位置や太さの改善で対処する予定である。 炎症物質の測定がうまくできていないが、手技を改善していきたいと考えている。一部の、炎症生物質は測定できているので、大きな支障にはならないと考えている。 体外循環の回路内容量が大きいため血液希釈が課題となっているが、輸血を行うことで対処する。
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Strategy for Future Research Activity |
検体の採取と血管内皮グリコカリックス厚の評価を行いたい。1時間のCPB後、または1時間の経過観察後に動脈血採血を行い、全身麻酔下に大脳、小脳の摘出を行った後に動物を固定還流液で灌流固定し、肺、小腸、心筋(左室)を摘出する。 得られた検体で、次の評価を行う。1.透過型電子顕微鏡での血管内皮グリコカリックス厚2.血清中のグリコカリックスが破壊された際に放出される物質濃度(シンデカン-1、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸)3.血清中の炎症性蛋白濃度(HMGB-1、TNF-α、IL-6)4.血清中の接着因子濃度(ICAM-1)
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Causes of Carryover |
体外循環の流量が計画ほど得られないため、研究の進行が遅れたことによる。
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