2022 Fiscal Year Research-status Report
Molecular hydrogen inhalation reduces brain damage after cardiopulmonary bypass and protects vascular endothelial glycocalyx
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19K09324
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
加藤 孝澄 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (80204478)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分子状水素 / 血管内皮グリコカリックス / 人工心肺 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子状水素は人工心肺に伴う血管内皮グリコカリックスの障害を軽減する 【背景】血管内皮グリコカリックス(Endothelial glycocalyx : EG) は血管内皮細胞の表面を覆うように存在し、血管保護や炎症反応の抑制などの働きを持つ。人工心肺(Cardiopulmonary Bypass : CPB) は全身炎症を惹起し、EGが障害されることが知られている。EGは炎症性サイトカイン (TNFαとIL-1β) 及び活性酸素種 (ROS) によって障害される。分子状水素はROSを選択的に除去し、抗酸化・抗炎症・EGの保護作用を持つことが報告されている。分子状水素がCPBに伴うEGの障害を軽減するか検討した。 【方法】28匹のラットを4群(4%H2群、2%H2群、control群、sham群)に分け、90分間のCPBとその後120分間の経過観察を行った。H2群は分子状水素をCPB開始から人工呼吸器と人工肺から投与し、CPB終了後も60分間人工呼吸器から投与した。経過観察後、採血と灌流固定を行い、心臓、肺、脳のEGの厚さを電子顕微鏡像で測定した。 【結果】4%H2群はcontrol群に比べてEGの障害を示すsyndecan-1の血清濃度が有意に低く、心臓と肺のEGは有意に厚かった。そして、TNFαとIL-1β及びROSを反映するmalondialdehyde (MDA) の血清濃度は有意に低くかった。一方、2%H2群はcontrol群に比べてsyndecan-1の血清濃度と心臓と肺のEGの厚さに有意差を認めず、TNFαとIL-1β及びMDAの血清濃度も有意差を認めなかった。また、脳のEGの厚さは4群間に有意差を認めなかった。 【結語】4%分子状水素はCPBに対して抗炎症・抗酸化作用を示し、EGの障害を軽減した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により、必要物品の調達に困難があり初期に予定して研究期間を延長せざるを得なかったが、来年度初頭には一定の結果が得られそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
日本心臓血管麻酔学会 第28回学術大会に、投稿予定である。(2023年5月10日現在投稿済み) 次年度初頭に、英文学術雑誌に投稿予定である。
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Causes of Carryover |
実験は、ほぼ完了したが、投稿準備のため、次年度に当該助成金を残しておく必要があった。
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