2021 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬および血管収縮薬投与時の末梢静脈径の変化に関する研究
Project/Area Number |
19K09330
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
恒吉 勇男 宮崎大学, 医学部, 教授 (90301390)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 静脈路の確保 / 静脈径 / 血管可視化装置 / 温浴 / 鉱泉温浴剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
手術室において静脈路の確保は時に困難である. 旧来から皮膚を温めると静脈径が拡張することが知られているが, 詳細な研究は行われていない. 近年, 手首の背面から近赤外光を照射し, 手首にある血管を明確に描出させる血管可視化装置(MillSuss)が発売された. 本装置は, 作動原理として血管の可視化に近赤外光を用いるため人体に無害であり, 動脈のみならず静脈も可視化できることから, 外部温度を変化させて手背静脈の血管径の変化を観察した. 室温24℃時の血管径を基準とし, 17℃の冷水, 22℃の冷水, 38℃の温水に手を3分間浸したときの血管径変化を観察した. その結果、 室温24度時の血管径を基準の100%とし, 外部温度によって静脈径がどのくらい変化したかを百分率で示した. 24℃の室温時と比較して, 17℃の冷水で75.6±6.8%, 22℃の冷水では, 85.4±6.1%へ静脈が収縮した. そして, 38℃の温水では, 110.5±3.9%へ静脈が拡張した. これは, 静脈径が有意差を持って変化したことを意味し, 静脈は, 外部温度が上昇するごとに有意差をもって収縮と拡張を生じることが判明した. 室温24℃時の血管径を基準とし, 温水および鉱泉に手を3分間浸したときの血管径変化を観察した. 室温24度時の血管径を基準の100%とし, 外部温度によって静脈径がどのくらい変化したかを百分率で示した. 鉱泉浴にて124.9±8.4%と温浴のみ110.5±3.9%に比べて有意に拡張した. しかしながら、温浴のみでの駆血後に128.1±11.9%となり, 鉱泉使用時と同程度にまで拡張し, 有意差はみられなかった. 駆血することで鉱泉温浴による静脈拡張の増強効果は消失したと判断した.
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