2021 Fiscal Year Annual Research Report
新しい痛み治療薬の開発に向けた炎症性内臓痛発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K09334
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中田 亮子 和歌山県立医科大学, 医学部, 客員研究員 (00405474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷奥 匡 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (50554656)
吉田 朱里 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40584777)
川股 知之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80336388)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 内臓痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患では、慢性炎症に伴う内臓痛が長期にわたり患者の生活の質を著しく低下させる。しかしながら、そのメカニズムが十分に解明されていないため内臓痛を十分に緩和することは難しい。したがって、安全かつ十分に内臓痛を除去することが可能な、新たな痛み治療薬の開発に向けて、内臓痛が生じるメカニズムの解明が望まれている。最近、申請者の教室では、これまで機能が未知であったTmem45bという新規分子が、正常状態では痛み受容に関与しないが、皮膚の炎症によって惹起される機械性痛覚過敏の発生に選択的に寄与することを見出した。本研究では、慢性炎症性腸疾患に伴う内臓痛におけるTmem45bの役割を解明し、新しい痛み治療薬開発のシードを呈示することを目的とした。 2019~2020年度は、大腸や大腸に投射している末梢神経におけるTmem45bの発現分布を解析した。また炎症性腸疾患モデルの一つであるDSSモデルモデルにおいてTmem45bの局在は変化しない事が確認された。また、Tmem45b遺伝子欠損マウスでは、DSSモデル投与により大腸の炎症が重症化している所見が副次的に得られた。 2021年度は、炎症性腸疾患モデルを用いて大腸の痛覚過敏におけるTmem45bの役割を解析した。大腸の伸展刺激に対する腹壁の筋収縮を筋電図で記録し解析するCRDテストを実施した。野生型マウスとTmem45b遺伝子欠損マウスを用いてCRDテストを実施したが、有意差が認められず炎症性腸疾患モデルにおける大腸の痛覚過敏にTmem45bは関与していない可能性が示唆された。
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