2019 Fiscal Year Research-status Report
低体温療法の分子機序の解明に基づいた甲状腺ホルモンの脳神経保護効果の実験的検証
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19K09336
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
道志 勝 帝京大学, 薬学部, 講師 (30392385)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 甲状腺ホルモン / マウス脳虚血モデル / 海馬神経細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、甲状腺ホルモンであるトリヨードチロニン(T3)およびチロキシン(T4)がマウス脳虚血再潅流後の神経細胞死の発生に及ぼす影響について比較検討した。 【実験方法】 雄性C57BL/6JマウスにT3を5ならびに50μg/kg、またT4を50ならびに200μg/kgとなるように腹腔内投与した。その後30分に1.5%イソフルラン吸入麻酔下でマウスの両側総頸動脈(BCCA)を血管狭窄用クリップで閉塞し、その15分後にクリップを外して血流を再開させた(脳虚血再潅流群)。対照群はBCCA閉塞のみを行わず同様の手術を行った(Sham群)。再潅流3日後の海馬を摘出し、細胞死の際にDNAの断片化によって生成されたヌクレオソームの含量をCell death detection ELISA kitを用いて測定し、神経細胞死の発生を定量評価した。 【結果・考察】 Sham群のヌクレオソーム含量はT3、T4いずれの投与量もvehicle群と差がなかった。脳虚血再潅流群のヌクレオソーム含量は、T3投与によって用量依存的に増加していた。一方、T4を投与しても、脳虚血再潅流群のヌクレオソーム含量は増加しなかった。以上の結果から、T3は脳虚血再潅流後の海馬神経細胞死を増悪させることがわかった。したがって、甲状腺機能が亢進している場合では、脳虚血再潅流後障害をより悪化させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり、まずは甲状腺ホルモンがマウス脳虚血再潅流後の神経細胞死の発生に及ぼす影響を明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
計画どおり、甲状腺ホルモン合成阻害薬であるチアマゾールがマウス脳虚血再潅流後の海馬神経細胞死に及ぼす影響を初年度と同様に検討する。
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Causes of Carryover |
わずかに余剰金が生じたが、ほぼ予定通り使用した。これは次年度の使用計画の範囲で消耗品の購入にあてる。
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