2020 Fiscal Year Research-status Report
低体温療法の分子機序の解明に基づいた甲状腺ホルモンの脳神経保護効果の実験的検証
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19K09336
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
道志 勝 帝京大学, 薬学部, 講師 (30392385)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 甲状腺ホルモン / マウス脳虚血モデル / 海馬神経細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、マウス脳虚血モデルにおいて、トリヨードチロニン(T3)を投与すると脳虚血再潅流後の神経細胞死が悪化することが判明した。そこで、本年度は、そのときの海馬における炎症性サイトカイン(TNF-α)のmRNA発現について解析した。海馬TNF-αmRNAの発現量は、Sham群に比べて脳虚血再潅流群で増大したが、T3投与によって用量依存的にTNF-αmRNAの発現量が低下することがわかった。さらに、海馬における炎症反応を評価するために、ウエスタンブロット法によりGFAP(アストロサイトのマーカー)およびIba1(ミクログリアのマーカー)のタンパク質発現量を解析した。Sham群ではGFAPの発現は検出されたが、Iba1の発現は検出されなかった。GFAP、Iba1いずれの発現もSham群に比べて脳虚血再潅流群で増加しており、T3投与により用量依存的に増加していた。以上の結果から、T3は脳虚血再潅流後の海馬における炎症反応を亢進させ、神経細胞死の発生を増悪していることが示唆された。ただし、TNF-αに関しては防御的に働いている可能性もあり、脳虚血再潅流後の神経細胞死の発生に対するその役割はさらに検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり、海馬におけるTNF-αの遺伝子発現を解析することができたが、予想に反した結果であったため、炎症反応についてより詳細に確認した。その結果、脳虚血再潅流障害に対するT3投与の影響を明確にできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、本評価系により、甲状腺ホルモン合成阻害薬の影響を検討する。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通り使用した。わずかに余剰金が生じたが、次年度の使用計画の範囲で消耗品の購入にあてる。
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