2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K09337
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡邊 真理子 東海大学, 医学部, 講師 (60609220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 正信 東海大学, 医学部, 准教授 (90276791)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 麻酔薬 / 唾液分泌 / Dアミノ酸 / NMDA受容体 / 唾液腺 / Dアミノ酸代謝酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬であるケタミンは唾液分泌を過多にするが、その機序は不明である。生体を構成するアミノ酸はすべてL体であり、鏡像異性体のD体は細菌ペプチドグリカンの構成成分など極めて限られた生体成分である、と長年考えられてきた。しかし、哺乳類を含む高等動物において種々の遊離D体アミノ酸(D-アミノ酸)が存在し、多様な生理機能を有することが明らかとなってきた。D-セリンは哺乳類脳内に多量に存在し、興奮性神経伝達物質グルタミン酸の受容体であるN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体の内在性リガンド(コアゴニスト)としてL-グルタミン酸によるNMDA受容体の活性化を増強することが知られている。D-セリンの中枢における機能については数多くの報告があるが、末梢臓器に対する作用についての報告はほとんどない。申請者らは、唾液腺内Dアミノ酸解析を行った。HPLCアミノ酸一斉分析により7週齢Wistar系雄性ラット耳下腺、顎下腺、舌下腺にD-アスパラギン酸をはじめとしてD-セリン、D-アラニンが存在すること、それ以外のDアミノ酸は検出されないことを明らかにし た。D-セリンをL-グルタミン酸とともにラット顎下腺に灌流すると副交感神経刺激下の唾液分泌量がD-セリン用量依存的に増加した。ット唾液腺においてセリン異性化酵素、D-アミノ酸酸化酵素、D-アスパラギン酸酸化酵素タンパク質が発現していること、NMDA受容体サブユニットがタンパク質発現していること、などを明らかにした。また、また、NMDA受容体サブユニットタンパク質NR1およびNR2Dは、3大唾液腺すべてで検出された。これらの結果より、液腺内で生成される内因性Dアミノ酸が唾液腺に直接作用し、唾液分泌機能に直接関与することが示唆された。
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