2019 Fiscal Year Research-status Report
敗血症性心筋症の病態生理学的解明およびカテコラミン類修飾作用の研究
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19K09338
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
畠山 登 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70251907)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症の時系列において,心筋細胞内情報伝達系において細胞内カルシウム(Ca2+)濃度はどのように変化するのか,心筋細胞内濃度のCa2+濃度の上昇において心筋のミトコンドリアはどのように変化しているのかという課題に対して,検討を行ってきた。心筋細胞内のCa2+濃度は10-7moL/L~5X10-7moL/Lレベルに調節されており,この濃度を超えるとミトコンドリア内のCa2+濃度が上昇し,ATP産生が低下する。通常,心不全や強心薬,特にカテコラミン長期使用時などにおいてこのような変化によりミトコンドリア機能が低下し,心不全を誘発することが明らかになっているが,敗血症病態においても同様の変化が起きている可能性が示唆された。しかし,このような変化に対してミトコンドリア機能は可逆的影響を受けているのか,あるいは不可逆的な障害を受けているかについては依然として不明であった。細胞膜分画と細胞質分画ではアドレナリン作動性β1受容体,Gsα蛋白,Giα蛋白,L型Ca2+チャネル構成サブユニット(α1,α2,β,δ),NCX,細胞質分画はホスホランバン(PLB),Ca2+-ATPase(SARCA2a),リアノジン受容体とし,ミトコンドリアでは膜蛋白としてカルジオリピン,内タンパクであるチトクロームC,ATP産生に関与するⅠ~Ⅴまでの5つのcomplex蛋白,およびアポトーシス関連分子など多くの関連因子が存在するが,それらの相互作用について検討を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により,海外学会での情報収集,成果発表が全く行えない状況にあり,さらに当該領域の研究者との情報交換も行えていない。また,研究活動自体も制限が多いため,進捗状況はやや遅れていると判断せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の影響がなくなるまでは,主にこれまでに発表されている文献を参考に研究を進めるしか方法がないと思われる。また,国内の当該領域の研究者との情報交換を積極的に行い,本研究を推進して行く予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により,参加を予定していた国際学会,国内学会が中止になったため。今年度は関連学会が開催された場合に参加を予定する。
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