2021 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性心筋症の病態生理学的解明およびカテコラミン類修飾作用の研究
Project/Area Number |
19K09338
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
畠山 登 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70251907)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 敗血症 / β受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症病態においてはサイトカインによる交感神経刺激により、カテコラミン類の分泌が増大しいわゆる高カテコラミン血症を引き起こす。このため病態初期においてはこのβ刺激による頻脈や血管拡張が発生し心拍出量は増大する一方で血圧が低下するwarm shockという状態を引き起こすことが知られている。このように従来は循環に対する影響が主として検討されてきたが,近年β2受容体が単球、マクロファージ、リンパ球に存在することがわかり,高カテコラミン血症が免疫を抑制する可能性や免疫細胞のアポトーシス誘導の発生が指摘され,さらにアドレナリンの刺激により炎症前駆物質であるNF-κBが活性化し、二次的にサイトカイン、iNOS,プロスタノイドの産生を刺激することで炎症反応を活性化させることが報告された (Cell Signal 2007;19:251-60.)。一方では敗血症の原因となる感染を引き起こすグラム陰性桿菌や真菌にもβ受容体が存在し,この刺激によりカテーテル表面などでのバイオフィルム形成を促進し,抗菌薬治療に対し抵抗性を示すことも明らかになっている。そのため、感染による炎症反応,また交感神経緊張に伴う高カテコラミン状態において,カテコラミンβ受容体がどの臓器,あるいは部位でどの程度発現しているか,もしくは発現が抑制されているかについて検討を行い,敗血症病態におけるカテコラミンβ受容体の影響,役割について解明を試みた。その結果、カテコラミンβ受容体は多くの組織や細胞のみならず、敗血症の原因菌にも存在し、その刺激により増殖を引き起こされることが示唆された。
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