2020 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫細胞の代謝リプログラミング解析を主軸とした周術期炎症応答の分子機序の探求
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19K09339
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
松尾 禎之 関西医科大学, 医学部, 講師 (50447926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広田 喜一 関西医科大学, 医学部, 教授 (00283606)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症 / 代謝 / マクロファージ / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症応答において免疫細胞のエネルギー代謝様式の転換(リプログラミング)が起こることが報告され、炎症の制御メカニズムとして細胞内代謝調節の重要性に注目が集まっている。自然免疫細胞の活性化に伴う代謝変容について、細胞外フラックス解析の手法を用いて検証を行った。炎症刺激直後に解糖活性の上昇が認められ、炎症マーカーの発現上昇や低酸素誘導性因子HIF-1の活性化を経て、ミトコンドリア呼吸がほぼ完全に抑制された代謝モードへの移行(リプログラミング)が観察された。炎症刺激による酸化的リン酸化抑制において標的となる経路を明らかにするため、酸素消費速度を指標としてミトコンドリア呼吸鎖複合体の活性を個別に測定した。各複合体に特異的な阻害剤や電子供与物質を組み合わせて酸素消費速度への影響を検討したところ、炎症刺激により活性化され酸素消費量の低下したマクロファージにおいても呼吸鎖複合体II、III、IVの機能は正常に保たれていた。基質供給に関わる経路の遮断により炎症物質除去後も長時間にわたり代謝リプログラミングが維持されると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロファージ活性化に伴うミトコンドリア呼吸抑制の分子機序として、解糖経路との連関を検証し、さらにミトコンドリア呼吸鎖を構成する各複合体の活性を個別に解析する手法を確立した。本技術により細胞内代謝活性を指標として、各種ストレッサーや化合物が免疫応答や代謝制御に及ぼす影響についてその分子機序や作用点を明らかにすることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子発現変化の網羅的解析により、代謝転換に関わる分子や細胞内シグナル経路に関する知見を得る。各分子の発現抑制や関連するシグナル経路の阻害により、解糖系の活性化と維持、および持続的なミトコンドリア呼吸抑制をもたらす分子機構を明らかにする。また炎症応答による代謝変化をリアルタイムに測定する測定系を確立する。これまでのエンドポイント解析では不可能であった代謝モードの経時的変化を測定することにより、短期応答から持続的活性化に至る制御機構の詳細を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究の遂行にあたり必要に応じて無駄のない研究費の執行に務めたため、当初の見込み額と執行額に差額が生じたが、研究計画に大きな変更はなく当初の予定通りに研究を遂行し、適切な研究費の使用に務める。
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Research Products
(5 results)