2021 Fiscal Year Research-status Report
うつ病病態発現神経回路の解明とケタミン抗うつ作用機序の検討
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19K09341
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
二階堂 義和 弘前大学, 医学研究科, 講師 (50613478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 和美 弘前大学, 医学研究科, 教授 (20238413)
櫛方 哲也 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (80250603)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | うつ病 / ケタミン / In vivo Ca2+イメージング / オプトジェネティクス / セル・アセンブリ |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病の病態発現にはミクロな遺伝子発現や細胞形態の異常、マクロな脳領域間ネットワークの変容が関与すると考えられる。しかし、その中間であるメゾスコピックな神経細胞間ネットワークの関与については分かっていない。そこで、本研究は神経細胞の機能的集団であるセル・アセンブリに着目し、うつ病の病態発現を制御する可能性がある内側前頭前野の異常神経活動をうつ病モデル動物を用いて解明することを目指している。さらに、近年抗うつ作用が報告された静脈麻酔薬ケタミンが内側前頭前野の神経活動に対してどのような作用を持ち、抗うつ作用効果を発揮するのか明らかにすることも目指す。 これまでにC57BL/6Jマウスに対して繰り返し社会的敗北ストレスを負荷した場合、うつ病様行動の発現したマウスでは前頭前野神経細胞の早期応答遺伝子タンパク質Arc陽性数が減少することを見出し、ストレス負荷によってArc発現神経細胞が傷害される可能性を見出した。さらに、Arc-CreERT2マウスの前頭前野にAAV-DIO-GCaMP6sを局所微量投与し、Arc陽性神経細胞の神経活動をGCaMP6sのカルシウム依存的蛍光強度変化を指標にIn vivo Ca2+イメージングを行った結果、ケタミン投与によってArc陽性神経細胞群の活動変化を確認できた。また、In vivo multi-unit recodingsによって電気生理学的にも前頭前野のケタミン応答性を検討した結果、興奮する細胞種および抑制される細胞種の存在を確認し、Arc陽性神経細胞が前頭前野におけるケタミン応答性の責任細胞である可能性を支持する結果を得られた。現在、引き続きうつ病モデルArc-CreERT2マウスを用いてストレス負荷中およびうつ病様行動発現中のArc陽性神経細胞の挙動を解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はIn vivoカルシウムイメージングに加え、Multi-unit recodingsも実施することができ、神経細胞の活動様式について調べた結果、うつ病行動発現のスイッチ・オン、スイッチ・オフをオプトジェネティックに操作する標的候補としてArc陽性神経細胞を含むセル・アセンブリを同定出来た。Arc-CreERT2マウスの繁殖に問題が出るなどしたため一時期実験の停止を余儀なくされたが、計画全体としては順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
「計画①」は達成でき、引き続き「計画②」Arc-CreERT2マウスをうつ病モデル化し、GCaMP6sを発現したArc発現前頭前野神経細胞のCa2+イメージングを進め、ストレス負荷中のArc発現前頭前野神経細胞の挙動を明らかにする。さらに、「計画③」光感受性タンパク質(ChR2/NpHR)を発現させたArc発現神経細胞を光刺激することでうつ病様行動のオン・オフを制御できるか検証する。また、「計画④」ではケタミン抗うつ作用の前頭前野セル・アセンブリ仮説を検証するため、社会的敗北ストレスにタグ付したArc発現神経細胞の活動をCa2+イメージングによって解析する。これまでの結果から、ケタミンがArc発現神経細胞を含むセル・アセンブリを回復させることが想定されるが、実際に回復させるのか新たに形成するのかを検証する。
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Research Products
(1 results)