2019 Fiscal Year Research-status Report
社会的心理ストレスによる神経障害性疼痛治療薬の鎮痛効果減弱機序についての研究
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19K09343
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
林田 健一郎 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (40769634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小幡 英章 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20302482)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 疼痛 / 下行性抑制 / 青斑核 / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
神経障害性疼痛の第一選択薬として世界的に使用されているガバペンチノイド(ガバペンチンとプレガバリン)は、その鎮痛機序が広く研究されているものの、臨床ではガバペンチノイドによる鎮痛効果が得られない神経障害性疼痛患者が多いにも拘らず、その理由はほとんど研究されていない。本研究は精神的ストレスがガバペンチノイドの鎮痛効果を減弱させる機序について、青斑核アストロサイトのグルタミン酸輸送体に焦点を当てて検討すると共に、減弱した鎮痛効果を回復させる治療戦略の提案を目的としている。今年度は、ストレスを与えた動物において、青斑核の基礎神経活動が増加し、痛み刺激及びガバペンチン投与によって惹起される神経活動が低下することを明らかにした。また、ガバペンチンの鎮痛効果は、ストレスを与えた動物でおよそ60%低下した。さらに、ストレスを与えた動物の青斑核のグルタミン酸輸送体(GLT-1)発現量が低下することを確認した。これらの結果は、ストレスが青斑核アストロサイトのGLT-1発現を減少させ、グルタミン酸調節機能に異常が起きたため、青斑核の搬送性低下が起きるという本研究の作業仮説と一致している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、本年度は電気生理的にストレスを与えた動物の青斑核神経活動を評価した。その結果、ストレスを与えた動物において、青斑核の基礎神経活動が増加し、痛み刺激及びガバペンチン投与によって惹起される神経活動が低下することを明らかにした。この結果は、本研究の作業仮説と一致している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が2020年6月より米国Wake Forest大学で疼痛研究を行う予定のため(帰国日は未定)、帰国後研究を再開する。
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Causes of Carryover |
動物実験施設の修理作業による騒音のため当初予定した行動実験を、次年度に行うことにしたため。
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