2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K09346
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
栗田 昭英 金沢大学, 附属病院, 准教授 (10507081)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HUS |
Outline of Annual Research Achievements |
HUSは腸管出血性大腸菌によって産生排出されるベロ毒素がその病態形成に関与していることが想定されているが,その治療法には効果的なものがなく,対症療 法に限られる.そこでわれわれは,HUSの効果的な治療法の開発を最終的な目標として,HUSモデル動物の作成から実験を開始した.一昨年度は,3回に分割して ベロ毒素を腹腔内投与することによって急激な循環動態の変化を来さず にHUSを発症させられないか検討し,死亡率としては0.2μg/kg×3回, 0.3μg/kg×3回の 腹腔内投与が今後の治療法の検討を行う上で有用であると発表した.このモデル動物をもとに治療法の検討を考えていたが,この実験系で使用していた麻酔薬で あるペントバルビタールの製造が打ち切られることが通達された.したがってわれわれは,麻酔法以外のすべてをこれまでと同一にしたモデルで,麻酔法のみを 吸入麻酔薬であるセボフルランで行うモデルを新たに作成した.しかし,このモデルの生存率(セボフルラン群100%)が,これまでペントバルビタールで麻酔を 行っていたモデル(ペントバルビタール群60%)よりも明らかに高いため,技術的な差異を排除した後に,この麻酔法の違い自体が生存率に差異を与えているので はないかと考えるに至った.今後は,セボフルランが虚血再灌流障害モデルなどで提唱されているanesthetic preconditioning効果や抗炎症効果などに注目して 研究を続けていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
麻酔薬の製造中止に伴い,新たな麻酔法によるモデル作成が必要となったため.
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Strategy for Future Research Activity |
ベロ毒素の腹腔内3回投与モデルラット(HUSモデルラット)をもとに治療法の検討を考えていたが,この実験系で使用していた麻酔薬であるペントバルビタールの製造が打ち切られることが通達された.したがってわれわれは,麻酔法以外のすべてをこれまでと同一にしたモデルで,麻酔法のみを 吸入麻酔薬であるセボフルランで行うモデルを新たに作成した.しかし,このモデルの生存率(セボフルラン群100%)が,これまでペントバルビタールで麻酔を 行っていたモデル(ペントバルビタール群60%)よりも明らかに高いため,技術的な差異を排除した後に,この麻酔法の違い自体が生存率に差異を与えているので はないかと考えるに至った.今後は,セボフルランが虚血再灌流障害モデルなどで提唱されているanesthetic preconditioning効果や抗炎症効果などに注目して 研究を続けていきたい.anesthetic preconditioningについては,その発現の鍵であるNF κBなどの測定を通じて明らかにしていきたい.
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Causes of Carryover |
麻酔薬変更が必要となったため,新たなモデル作成によって実験計画が滞った.
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