2020 Fiscal Year Research-status Report
治験で脱落したグルタミン酸拮抗薬から、蘇生中に使用可能な薬剤をサルベージする
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19K09351
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
武田 吉正 東邦大学, 医学部, 教授 (30294466)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心停止 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞に対するグルタミン酸拮抗薬の有効性は数多くの動物実験(脳梗塞モデル)で報告されている。しかし、臨床研究では精神作用(興奮、緊張、幻覚)のため、全て開発が中断され、臨床で使用できる薬剤が存在しない。一方、心停止中に用いる場合、患者は意識消失しており、投薬期間中の精神作用(興奮、緊張、幻覚)は問題とならない。2年目は初年度で作成した実験系を用い、グルタミン酸拮抗薬の効果を細胞外グルタミン酸値を指標に検討した。グルタミン酸拮抗薬については学会での情報収集や文献的探索を行い、硫酸マグネシウムを選択し蘇生中に投与することとした。神経細胞は膜電位消失により電位依存性カルシウムチャンネルが開口し、プレシナプスよりグルタミン酸を放出する。電位依存性カルシウムチャンネルは1秒以内に自動的に閉鎖されるが。グルタミン酸チャネルは開口状態を維持し、細胞内カルシウム濃度が上昇する。これにより更にグルタミン酸が放出されると考えられている。マグネシウムイオンはカルシウムよりサイズが大きい2価の陽イオンであるためチャネルを閉塞しカルシウムの流入を止めると考えられている。 雄性SDラットを用いた。気管挿管し人工呼吸下にステレオ装置に固定、マイクロダイアライシスプローブを右頭頂葉に刺入し、リンゲル液を2μl/分で灌流した。灌流液はフラクションコレクターを用い2分毎にマイクロキャップに収集し、ハイパフォーマンス高速液体クロマトグラフィーでグルタミン酸濃度を測定した。食道から100Hz,50mAの電流を流し心停止を負荷した。ラットを以下の3群(各群n=7)に分けた。すなわち、心停止後人工呼吸のみ継続する群、胸骨圧迫と人工呼吸を行う群、胸骨圧迫と人工呼吸を行いつつ硫酸マグネシムムを投与する群を作成した。現在、データを集積中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで臨床で使用されたグルタミン酸拮抗薬は多数存在し、それぞれ作用機序が異なる。そこで学会での情報収集と文献的探索を行い、硫酸マグネシウムを選択することとした。1年目に開発した実験系を用い、順調にデータを集積中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットをランダムに3群に割り振り、各群n=7になるまでデータ集積を進め、データ解析に移行する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で学会活動(特に国際学会)に制約があり、次年度使用額が生じた。次年度は、試薬等の購入、学会参加費、論文掲載料等について使用予定である。
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