2023 Fiscal Year Annual Research Report
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19K09361
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
木田 康太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70385318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 真吏奈 日本体育大学, 保健医療学部, 准教授 (70508621)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脊髄虚血 / 遅発性対麻痺 / 二酸化炭素 / 胸部大動脈瘤 / 胸腹部大動脈瘤 / 脊髄保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸部・胸腹部大動脈手術の術後に起こる遅発性対麻痺は解決されていない問題である。申請者らはこれまでに、二酸化炭素吸入による中枢神経の保護作用に着目し、二酸化炭素吸入がマウス蘇生モデルの予後を改善することを世界に先がけて発見した。さらに、これらの成果を脊髄の虚血性神経障害に応用したところ、二酸化炭素吸入が遅発性対麻痺に対して非常に強い予防効果を示すことが明らかになった。本研究の目的は、二酸化炭素の脊髄保護の作用メカニズムを生体および 分子レベルで解明し、大動脈手術後の遅発性対麻痺に対する、これまでにない新しい脊髄保護戦略として臨床応用につなげることである。 遅発性対麻痺発症のメカニズムは完全に明らかになっていないが、申請者らは脊髄保護の機序として『二酸化炭素吸入は脊髄虚血モデルで脊髄血流を増加させる』との仮説を立て検証を行った。 マウス一過性脊髄虚血モデルで二酸化炭素吸入により脊髄血流が増加するかを調べるため、レーザードップラーを用いて脊髄血流を測定した。 レーザードップラーを用いた脊髄血流測定の結果、二酸化炭素吸入は再灌流後の脊髄血流を増加させることが明らかにな理、二酸化炭素吸入による脊髄保護の機序として、脊髄血流の増加が関与している可能性が示された。 この結果を応用し、ラット脊髄虚血モデルでの二酸化炭素による脊髄保護効果の検討を行ったが、マウスモデルと同程度の再現性のある遅発性対麻痺モデルの作成が困難であった。既存のラット脊髄虚血モデルを再検討するため、X線透視装置を用いてラットの血管造影を行った。その結果、フォガティカテーテルで閉塞されていると考えていた左鎖骨下動脈の閉塞が不完全であることが明らかになった。既存モデルの問題点を克服する確実に左鎖骨下動脈の閉塞が可能となる新規脊髄虚血モデル開発の必要性が明らかになった。
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