2021 Fiscal Year Research-status Report
客観的運動予備能評価に基づいた高齢患者の全身麻酔リスク解析
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19K09362
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小竹 良文 東邦大学, 医学部, 教授 (70195733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 裕一 東邦大学, 医学部, 助教 (50349916)
豊田 大介 東邦大学, 医学部, 助教 (80408822)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サルコペニア / バイオマーカー / 炎症反応 / 体組成分析 / バイオインピーダンス法 / 間接熱量計 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は以下の3点に関して研究を実施した。大侵襲手術をうける患者における術前心血管系合併症、フレイルおよびサルコペニアの有無と術中血行動態および周術期の炎症性バイオマーカーに関する研究を行った。 まず、令和1年度および2年度に実施した大侵襲手術患者における侵害刺激指標としての心拍の周期的変動、炎症反応のバイオマーカーであるpresepsinおよびsyndecan-1血中濃度および血行動態との関連を解析し、現在論文投稿を準備している。 本課題では当初、酸素消費量および活動量計を用いて術前の運動耐用能を定量化することを目的としたが、先行研究において大侵襲手術の対象患者では術中および術後の血行動態異常と骨格筋量減少(サルコペニア)との間に関連があることが示唆された。このため、研究計画を修正し、周術期の骨格筋肉量の変化および術中の酸素消費量に注目し、研究を進めることとした。大侵襲開腹手術をうけ、術後集中治療室で治療を継続する症例を対象として、バイオインピーダンス法を用いた手術前、手術後に骨格筋肉量定量および術中間接熱量計による酸素消費量定量を行い、術中、術後のバイオマーカーとの関連を評価することとした。令和3年度終了時点で36例を集積し、研究継続中である。 さらにフレイルおよびサルコペニアを高率に合併し、かつ準緊急手術が必要となる症例として高齢者大腿骨頸部骨折患者に注目し、術中血行動態、特に一回心拍出量と血中炎症性バイオマーカーの関連を調査する前向き観察研究を開始した。血中炎症性バイオマーカーは前項で述べた大侵襲開腹手術症例を対象とした研究と同様に術前、術中および術後第1病日で評価することとした。令和3年度末までに45症例を集積し、現在研究継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度に研究計画を修正し、術前心血管系予備能の評価指標として酸素消費量ではなく、骨格筋肉量の定量を行うこととした。令和3年度末の時点で、すでに36症例の骨格筋肉量および術中酸素消費量データが集積済みであり、今後も症例を重ねて、学会発表、論文投稿を予定している。本研究では諸般の事情で研究計画の修正を余儀なくされたが、研究計画策定時には予想し得なかった新知見が得られており、後述するような今後の展開も期待できる事から、総合的には概ね順調に推移したものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように本課題では研究計画を修正し、大侵襲手術における筋肉量の変化および手術中の酸素消費量を経時的に測定することとした。これにより以下の様な展開が期待できる。 まず、炎症反応が筋肉量に及ぼす影響の一つとして、筋蛋白の崩壊があり、重症病態ではICUでの筋力低下(ICU acquired weakness)として注目されている。大侵襲手術でも類似の病態が発生している可能性があり、今後炎症性メディエーターと骨格筋肉量の変化の関連に関しても解析を加える予定である。 また令和3年度計画で手術中の酸素消費量を測定し、周術期の筋肉量、炎症性メディエーター推移との関連の検討に関するデータ集積を開始したが、手術中の酸素消費量は術前と異なり、連続的に評価が可能な点が特徴である。酸素消費には酸素供給に関わる因子、すなわち心拍出量、動脈血酸素飽和度および血中ヘモグロビン濃度を合わせて評価する必要がある。これらの因子のうち、血中ヘモグロビン濃度を連続的に測定するための機器が臨床使用可能であり、同機器を備品として装備し、本研究に使用する予定としている。
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Causes of Carryover |
令和2年度報告書においては、令和3年度にpresepsinおよびsyndecan-1等炎症性バイオマーカー定量に関わる費用および論文作成、投稿に関わる経費として支出する予定としていたが、これまでの解析結果から測定対象とする炎症性バイオマーカーについてさらなる検討が必要であることが明らかになった。また関連領域での新知見に基づいて既存のデータを再解析することの意義が明らかになったため、上記使用計画は一旦延期とし、事業期間延長を申請し、承認を得た。延長した事業期間においては今後の推進方策の項で記載したように、低ヘモグロビンの影響を詳細に解析することを目的としているため、令和4年度の直接経費はヘモグロビン濃度を経皮的、連続的に測定しうる装置の購入に充当する計画とする。
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Research Products
(1 results)