2020 Fiscal Year Research-status Report
The quest for the appropriate anesthetic agents for patients undergoing cancer surgery-What is the best analgesic agent?
Project/Area Number |
19K09367
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
丹羽 英智 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (20374845)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | natural killer cell / 細胞傷害性 / レミフェンタニル |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトnatural killer(NK)細胞株(KHYG1)を用いて、超短時間作用型麻薬鎮痛薬であるレミフェンタニルがNK細胞の細胞傷害作用に与える影響について検討した。まず、KHYG1の細胞傷害作用を評価する際の至適細胞条件を決めための検討を行った。様々なKHYG1、K562細胞の細胞数比の条件下でLDHアッセイを行った結果、標的細胞(K562)とKHYG1の細胞数が1:20であることが、KHYG1の細胞傷害性を検討する際に、最適の条件と判断された。これを踏まえ、次にレミフェンタニルのKHYG1細胞傷害性への影響について以下の二つの実験を行った。 使用したレミフェンタニルの濃度は、ミントモデルで計算された臨床血中濃度に準じた(1~30μM)。 実験1:時間依存性の検討。レミフェンタニル(1,30μM)をKHYG1に4,24,48時間暴露した後、細胞傷害能をLDHアッセイで評価した。結果、30μM群で、24時間、KHYG1をレミフェンタニルに暴露したときに、細胞傷害性が有意に低下したが、4,48時間では、コントロールと有意な違いは認めなかった。 実験2:用量依存性の検討。レミフェンタニルの濃度を1,3,10,30μM、薬液暴露時間を24時間として、KHYG1の細胞傷害能をLDHアッセイで評価した。結果、レミフェンタニルは濃度依存性にKHYG1の細胞傷害能を低下させることはなく、実験1で認めたような、コントロールに比べ、細胞傷害性を有意に低下させることもなかった。このことから、今回の基礎実験からレミフェンタニルはヒトNK細胞の細胞傷害能を低下させないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトNK細胞株を用いた基礎実験の至適実験条件を検討した上で実験を始めることができている。臨床研究とは異なり、同一条件下で実験を進めることができるので、一度、至適条件を決められてしまえば、実験はこのまま順調に進むと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の研究では、使用された麻薬(オピオイド)がレミフェンタニルだけであることが、問題であり、つまり、Positive controlが無いことが問題である。今後、モルヒネ、フェンタニルなど、他のオピオイドを用いて、同様の実験を行い、今回得られた結果の妥当性を検討する必要があると考えている。その後、詳細な分子生物的機序の解明を行うか、動物実験、臨床研究に進むかは、未定である。
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Causes of Carryover |
本研究の準備にあたる基礎研究が終了したばかりであり、今後、今回得られた研究結果の頑強性を確かめる研究の他、動物実験、臨床試験への発展を予定している。
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