2023 Fiscal Year Annual Research Report
The association between perioperative carbon dioxide management and postoperative delirium
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19K09372
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 聡 岡山大学, 大学病院, 助教 (50444675)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / せん妄 / 周術期 / 麻酔 / 呼吸管理 / 術後合併症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、全身麻酔下で大手術を受ける患者において、①周術期CO2管理の現状調査、②血中CO2値の異常と術後せん妄の発生頻度、患者予後の関連の検証、③脳血流維持を目的とした軽度の高CO2値を目標とする呼吸管理が、バイオマーカーや術後せん妄発生に及ぼす影響を明らかにすることである。 ①、②については、当院で2018年6月から2021年12月31日の間に全身麻酔下で手術を受け、術後ICUに入室した成人患者2,695名を対象とした後ろ向き観察研究を遂行し、最終年度に解析が終了した。その結果、術中の呼気中CO2分圧(ETCO2)が35mmHgを下回る低CO2血症が比較的高い頻度で発生していることが分かった。また、術後せん妄は9.6%で発生し、術後せん妄あり群では無し群と比較して、術中のETCO2が35mmHgを下回る時間曲線面積(AUC-ETCO2<35)が有意に高値であった(中央値189 mmHg・min [IQR 45-527] vs. 119 mmHg・min [33-335], P<0.001)。さらに、AUC-ETCO2<35の増加は、術後せん妄発生の独立した関連因子であった。この研究結果は第51回日本集中治療医学会学術集会(2014年、札幌)で報告した。 前述の結果を受けて、術後せん妄発生予防のための全身麻酔中のCO2管理について、術中の低CO2血症を防ぐ目的で軽度高CO2血症を目標とする呼吸管理を導入する介入研究を行う事の正当性が示された。③の介入研究については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う研究活動の制限や手術制限によって大幅に遅れが生じていたが、最終年度には脳血流、神経炎症、せん妄発生に関連する3種類のバイオマーカーを選定し、ELISAによる測定が可能な環境を整えた。現在、倫理委員会への申請の準備を進めている。
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Research Products
(1 results)