2021 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫性肝炎モデルに対するファルネシル化の効果の検討
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19K09374
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白水 和宏 九州大学, 大学病院, 講師 (30568960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤星 朋比古 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20336019)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ファルネシル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
メバロン酸経路の下流代謝経路であるファルネシル化の抑制には様々な効果があることが報告されている。ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬(FTIs)は抗癌剤として臨床試験を試みられている一方、マウス劇症肝不全モデルで肝保護作用を、HIVプロテアーゼインヒビターによるリポディストロフィーに対し抑制作用を有することが報告されている。本研究では、T細胞を主とする免疫応答に対するファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬、及びスタチン製剤の効果を検討し、作用メカニズムを生体および分子レベルで解明することを目標とし、将来臨床応用や適応拡大を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス急性肝不全モデルを作成し、治療薬として検討したファルネシルトランスフェラーゼ抑制薬が保護作用を有することを実証することができた。まず、急性肝不全による肝臓の酵素の上昇を抑制することを証明した。具体的にはASTが大幅に疾患モデル群では4桁まで上昇するが、ファルネシルトランスフェラーゼ抑制薬は投与後8h,24hと優位に抑制した。その次に組織を採取し、肝臓の炎症の程度を肉眼的にも確認した。こちらも8h, 24hと肝臓組織の壊死部位がファルネシルトランスフェラーゼ抑制薬投与により優位に抑えられていることが観察できた。炎症性のサイトカインの上昇も肝不全では観察されるが、ファルネシルトランスフェラーゼ抑制薬はその上昇を抑えた。具体的にはIFN-γ、IL-6, TNF-αの上昇を抑制することを証明できた。結果的にcaspase3を抑えることを証明でき、組織的にもTUNEL染色により確認できたので、アポトーシスの抑制が大きく保護作用に関与することが証明できた。また、実験の結果より脾臓へも影響が疑われる所見が観察されたため、免疫系の関与を強く疑いフローサイトメトリーを用いおこなった。その結果、ファルネシルトランスフェラーゼ抑制薬による効果はCD4 Tcellを介するものであり、CD8 T cellは介さないことが明らかとなった。また、肝臓でのSTAT1のリン酸化を抑制することによりCD4 TcellからのIFN-γの分泌を抑制することも証明した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに機序の解明のために、SQRの高発現、ノックアウトマウスの作成を試み、その後、それらのマウスにおいてConAの効果を観察し、さらなる検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で留学生が来日できなかったため。
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