2019 Fiscal Year Research-status Report
妊娠鎮痛の機序を介した神経障害性疼痛の新規治療戦略:前帯状皮質の果たす役割の解明
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19K09376
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
澤田 敦史 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10551492)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 妊娠鎮痛 / 神経障害性疼痛 / 前帯状皮質 / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
【①妊娠鎮痛と神経障害性疼痛】 申請者らは非妊娠マウスおよび妊娠マウスを用いて,坐骨神経部分結紮による神経障害性疼痛モデルを作製し,患側肢の触刺激に対する逃避行動の閾値を測定した.その結果,非妊娠マウスにおいては触刺激に対する逃避行動の閾値の低下を認め,神経障害性疼痛を発症した.妊娠マウスにおいては触刺激に対する逃避行動の閾値の低下を認めず,神経障害性疼痛を発症しなかった.
【②妊娠鎮痛と前帯状皮質のミクログリア】 申請者らは,上記行動学的解析の終了後に,非妊娠マウスおよび妊娠マウスの脳を採取して,前帯状皮質のミクログリアおよびアストロサイトの細胞数について免疫組織学的解析を行った.その結果,非妊娠マウスの前帯状皮質においてミクログリアの細胞数の増加を認めたが,妊娠マウスの前帯状皮質においてはミクログリアの細胞数の増加は認めなかった.妊娠マウスおよび非妊娠マウスにおいて,前帯状皮質にアストロサイトは観察されなかった.
①,②の研究実績より前帯状皮質のミクログリアの増加が,神経障害性疼痛の発症に寄与することが示唆された.また,妊娠鎮痛の形成機序に前帯状皮質のミクログリアが関連していることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である2019年は妊娠マウスにおける神経障害性疼痛の発症の有無,および前帯状皮質におけるグリア細胞の免疫組織学的解析を遂行する予定であり,これらを実施できたため,研究の進捗状況は順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は前帯状皮質の内在性オピオイド受容体の発現,ミクログリアの遊走に係るケモカイン受容体の発現について分子学的解析を行い,妊娠鎮痛の形成機序の詳細な解析を行う予定である.
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Causes of Carryover |
本研究については2019年度札幌医科大学特定医学研究推進事業の交付を受けることができた.そのために申請時に予定した金額より,実際の助成金の使用額が少なくなった.次年度使用額は,2020年度の分子学的解析を行うための支出にあてる予定である.
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