2020 Fiscal Year Research-status Report
妊娠鎮痛の機序を介した神経障害性疼痛の新規治療戦略:前帯状皮質の果たす役割の解明
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19K09376
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
澤田 敦史 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10551492)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 妊娠鎮痛 / 前帯状皮質 / 神経障害性疼痛 / ミクログリア / オピオイド受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
【①妊娠鎮痛と神経障害性疼痛】 申請者らは非妊娠マウスおよび妊娠マウスを用いて,坐骨神経部分結紮による神経障害性疼痛モデルを作製し,患側肢の触刺激に対する逃避行動の閾値を測定した.その結果,非妊娠マウスにおいては触刺激に対する逃避行動の閾値の低下を認め,神経障害性疼痛を発症した.妊娠マウスにおいては触刺激に対する逃避行動の閾値の低下を認めず,神経障害性疼痛を発症しなかった. 【②妊娠鎮痛と前帯状皮質のミクログリア】 申請者らは,上記行動学的解析の終了後に,非妊娠マウスおよび妊娠マウスの脳を採取して,前帯状皮質のミクログリアおよびアストロサイトの細胞数について免疫組織学的解析を行った.その結果,非妊娠マウスの前帯状皮質においてミクログリアの細胞数の増加を認めたが,妊娠マウスの前帯状皮質においてはミクログリアの細胞数の増加は認めなかった.妊娠マウスおよび非妊娠マウスにおいて,前帯状皮質にアストロサイトは観察されなかった. 【③妊娠鎮痛と前帯状皮質のオピオイド受容体】 申請者らは,上記行動学的解析の終了後に,非妊娠マウスおよび妊娠マウスの脳を採取して,前帯状皮質のオピオイド受容体の発現についてタンパク定量(ウエスタンブロッティング)を行った.その結果,非妊娠マウスと比較して妊娠マウスの前帯状皮質においてδ-オピオイド受容体の発現の増加を認めた.μおよびκ-オピオイド受容体の発現に有意差は認めなかった. ①,②,③の研究実績により前帯状皮質のミクログリアの増加が神経障害性疼痛の発症に関与し,前帯状皮質のδ-オピオイド受容体の発現増加が妊娠鎮痛の形成機序に関わることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は妊娠マウスの前帯状皮質におけるδ-オピオイド受容体の発現増加を明らかにして,妊娠鎮痛の形成機序の一端を明らかにすることができたため,研究の進捗状況は順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロインジェクターを使用して,妊娠マウスの前帯状皮質にδ-オピオイド受容体の拮抗薬を直接投与し,妊娠鎮痛が拮抗される(触刺激に対する疼痛閾値が低下する)ことを明らかにすることで,前帯状皮質のδ-オピオイド受容の発現増加が妊娠鎮痛の形成機序に関わることを確認する予定である.
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Causes of Carryover |
2020年は参加予定であった国際学会がWeb開催となり,旅費の使用がなかったため次年度使用額が生じた.次年度使用額は,前帯状皮質へのδ-オピオイド受容体の拮抗薬の投与実験に使用する予定である.
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