2021 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞をターゲットとした骨がん痛メカニズムの解明:新規の骨がん痛治療法の開発
Project/Area Number |
19K09380
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
栗山 俊之 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10405467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川股 知之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80336388)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨がん痛 / デノスマブ / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では研究期間中に (1) 骨がん痛を有している患者に対してデノスマブを投与して痛みと骨吸収マーカーの変化を経時的に観察する臨床研究でヒトでの急性効果を明らかにし、続いて (2) 骨がん痛モデルマウスを用いてデノスマブによる鎮痛機序解明を行う予定であった。 臨床研究としては、明らかな骨折がないが骨痛を訴える患者を対象として、デノスマブを投与して120mg投与後、4週間後まで痛みの強さと痛みの性状を評価する後ろ向き調査を行った。それに合わせて、骨吸収マーカーである尿中デオキシピリジノリン、尿中I 型コラーゲン架橋N-テロペプチド、尿中I 型コラーゲン架橋C-テロペプチド、血中酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ-5bを測定する予定であったが、対象となる患者が少なく統計学的解析が不可能であったが、デノスマブによる骨がん痛患者に対する明らかな鎮痛効果は認められなかった。 基礎研究として、骨がん痛モデルマウスとして左大腿骨骨髄内にosteosarcoma細胞を移植し3週間後にデノスマブ(溶媒のみ, 0.2、1.0 or 5.0 mg/kg)を皮下投与し、経時的に自発疼痛関連行動、動作時疼痛関連行動評価をおこなったが、デノスマブによる疼痛関連行動の変化は見出すことができなかった。行動実験では変化は見いだせなかったという結果はえたものの、その機序については迫ることができなかった。
以上のことから、デノスマブはがん患者の骨関連有害事象の発生率を低下させることは既報から明らかだが、骨がん痛を抑制する急性効果は期待できるものではなかった。基礎研究からは、デノスマブによる骨がん痛に対する鎮痛効果の可能性の有無について迫ることができなかった。
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