2021 Fiscal Year Annual Research Report
ドラッグ・リポジショニングを応用した急性呼吸窮迫症候群に対する薬物療法の開発
Project/Area Number |
19K09381
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
高橋 徹 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40252952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森松 博史 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30379797)
清水 裕子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (80423284)
荻野 哲也 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (90252949)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 急性腎傷害 / ドラッグーリポジショニング / 遊離ヘム / 塩化スズ / ヘムオキシゲナーゼ―1 / ALAS1 / Bach1 / SnMP |
Outline of Annual Research Achievements |
急性肺傷害を含む急性臓器傷害に対する薬物療法はいまだ確立されていない。最近、新しい薬物療法の研究手法として既存薬より新薬効を見つけて実用化を目指す「ドラッグ―リポジショニング」という方法が注目されている。私たちは横紋筋融解症とそれに伴う急性腎傷害(RM-AKI)において、筋ミオグロビン由来の遊離ヘムが脂溶性の鉄として酸化ストレスを増強することによりその病態に重要な役割を果たしていることを報告した。また、私たちは塩化スズ(SnCl2)がヘム分解の律速酵素Heme oxygenase-1(HO-1)を腎特異的に誘導することも報告した。本研究ではグリセロール(Gly)筋肉注射によって作成したRM-AKIラットモデルを用い、SnCl2投与がRM-AKIを改善するのか、また遊離ヘムを減少させるかについて検討した。腎機能は血清BUN、クレアチニン値で評価し、腎遊離ヘムの量はヘム生合成の律速酵素であるALAS1と、HO-1の阻害性転写因子であるBach1の核内発現の変化で評価した。Gly処置後、生食処置群の血清BUN、クレアチニン値は、無処置対照群より有意に上昇したが、SnCl2処置群では上昇しなかった。しかしHO阻害剤であるSnMPの追加投与はSnCl2の保護的効果を消失させた。生食処置群の腎ALAS1mRNAと腎の核内Bach1蛋白発現量は、Gly処置後に無処置対照群よりも有意に減少したが、SnCl2処置群では変化がなかった。ALAS1の発現はヘムにより抑制されること、核内に増加した遊離ヘムはBach1と結合して核外に移送されることが知られている。以上よりSnCl2投与は腎HO-1誘導し、遊離ヘムを減らすことによりRM-AKIに対して保護作用を持つことが示唆された。SnCl2の腎特異的HO-1誘導能への着目はドラッグ―リポジショニングの研究に影響を及ぼす可能性がある。
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Research Products
(2 results)