2020 Fiscal Year Research-status Report
The development of the anesthesia monitoring score of Poincare analysis using deep learning.
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19K09385
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Research Institution | Meiji University of Integrative Medicine |
Principal Investigator |
林 和子 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 客員講師 (40285276)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポワンカレプロット / deep learning / 機械学習 / 麻酔モニター / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポアンカレプロット解析は、実信号と遅延信号との二次元描出の履歴効果から秩序性を検討する複雑系システムの挙動把握法であり、我々は、このポアンカレプロット解析法を脳波に応用して、複雑系システムである脳神経活動の履歴効果からその秩序性を定量解析することで、統一的な麻酔深度測定法を確立する研究を施行してきた.しかし、浅麻酔領域では主に筋電図による干渉が大きくなる問題があったため、ポアンカレプロット周波数階層化により浅麻酔領域で必然的に影響が大きくなる筋電図成分を勘案できる改良をおこなった.これら階層化ポワンカレプロット解析においては、ディープラーニングを導入して、脳波変化のパターンを機械学習させることで、入力脳波情報から出力麻酔深度推定スコアに至る重みを決定した。前頭誘導脳波で筋電図を多く含むことが知られる20-30Hz成分の脳波を別に階層化してポアンカレプロット解析し、従来の脳波全周波数対象のポアンカレプロットと合わせて、両者の重み付けパターンを機械学習させることで、浅麻酔領域にも適用できる麻酔深度推定が可能となった。 本年度は、更に高齢者におけるポアンカレプロット麻酔深度推定法の適応を検討するため、超高齢者での脳波の麻酔深度に応じた振動変化を調べた。その結果、超高齢者の脳波のαbicoherenceとαpowerはすべての麻酔レベルで小さいが、脳波のδ‐θbicoherenceがセボフルラン濃度に依存して変化することがわかった。このことは、デルタ‐シータバイコヒーレンスの定量化が高齢者の麻酔モニタリングに有効であることを示しており、従って、δ‐θ領域の周波数で階層化したポワンカレプロット解析を脳波ポワンカレプロット解析に応用することで、高齢者にも適用できるポワンカレプロット解析法の開発に繋がる可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に、従来の脳波の全周波数を対象としたポアンカレプロット解析に、筋電図成分の混入が著しいとされる脳波の20-30Hzを対象としたポアンカレプロット解析を導入し、脳波ポアンカレプロット解析を2階層に階層化して、これらから、BIS値を推定する試みを施行したところ、20-30Hz対象ポアンカレプロット解析を取り入れた2階層ポアンカレプロット解析により、より良好なBIS値の算定が可能となる結果が得られ、階層化ポワンカレプロットにより良好な麻酔深度の推定が可能になることがわかった。この成果は、Journal of Clinical Monitoring and Computing (2020) 34:1321-1330に掲載された。 2階層ポアンカレプロット解析により、麻酔深度推定は改善したが、近年手術の多い高齢者層での検討は十分ではなかった。そこで、本年度は、更に高齢者におけるポアンカレプロット麻酔深度推定法の適応を検討するため、超高齢者での脳波の麻酔深度に応じた振動変化を調べた。その結果、超高齢者の脳波のαbicoherenceとαpowerはすべての麻酔レベルで小さいが、脳波のδ‐θbicoherenceがセボフルラン濃度に依存して変化することがわかった。(Clin Neurophysiol 2020; 131: 2150-7、掲載)このことは、δ‐θbicoherenceの定量化が高齢者の麻酔モニタリングに有効であることを示しており、従って、δ‐θ領域周波数で階層化したポワンカレプロット解析を脳波ポワンカレプロット解析に応用することで、高齢者にも適用できるポワンカレプロット解析法の開発に繋がる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度までに得た高齢者脳波に関する知見を、脳波ポワンカレプロット解析の階層化手段に応用して、大量の脳波データを収集して、解析できるシステムの構築をめざす。高精度PCや GPU( GeForceGTX 1080Ti 11GB 等を導入して、解析に用いたい。 構築されたモデル(重み付け)を検証してポアンカレプロット統合麻酔深度推定スコアアルゴリズムを作成する.このアルゴリズムを用いてモデル作成の学習やテストに用いなかった新しい症例で、実測深度指標(BIS等)との比較を行い検証する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染禍にあって、何よりも感染対策を第一に診療に従事したため、麻酔管理中の新しいデータ収集が困難であり、新な手術中の脳波データの採取解析が施行できる状況ではなかった。そのため、本年度の研究は、すでに収集した高齢者脳波データを解析して検討し、論文執筆を中心に施行したため、新たな機器の購入や搬入ができず、未使用の使用額が残った。 新年度は、感染が落ち着き次第、予定研究に取り掛かる予定である。
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Research Products
(4 results)