2019 Fiscal Year Research-status Report
時系列的免疫細胞と脳血管内皮細胞連関による脳障害機序にω3系脂肪酸が及ぼす影響
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19K09388
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
松井 智浩 九州女子大学, 家政学部, 准教授 (50314828)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ドコサヘキサエン酸 / 脳血管内皮細胞 / エイコサペンタエン酸 / 接着因子 / 脳障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳虚血等による脳障害には、末梢性炎症細胞の脳内への浸潤が大きく関わる。その浸潤には、脳血管内皮細胞に発現する接着因子やケモカインが重要な役割を担う。よって、それらの発現を抑制することにより、脳障害を軽減する可能性がある。 ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)等のω3系多価不飽和脂肪酸には、抗炎症性作用や血管保護作用等の多様な生理作用がある。そこで本年度の研究では、脳血管内皮細胞の接着因子発現に、DHAやEPAが及ぼす影響を調べた。その結果、TNF-α刺激による脳血管内皮細胞のE-selectinとICAM-1 mRNA発現増加を、DHAとEPAは、各々、濃度依存的にさらに高めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
脳血管内皮細胞の刺激剤として、TNF-α以外に、IL-17も重要であり使用したが、上手く刺激が起きず、試行錯誤を繰り返した。それに伴い、DHAやEPAがケモカイン産生に及ぼす影響も見ることができず、研究は遅れていると評価せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
報告者はこれまでに、脳低温療法による脳保護作用機序を、時系列的免疫細胞および脳血管内皮細胞連関に着目し、様々な時系列的炎症反応抑制に基づくニューロン死と脳血管内皮細胞死の抑制および脳血管内皮細胞の接着因子/ケモカイン発現の抑制の観点から示してきた。本研究は、本療法の改良や新規治療法への開発に向け、栄養学的見地からアプローチを行うものであり、EPAやDHA等のω3系多価不飽和脂肪酸(以下、ω3系脂肪酸)に着目する。具体的には、ω3系脂肪酸が上記の脳保護作用機序と同様な効果を示すのか、またその他、血液脳関門(BBB)を構成する脳血管内皮細胞のタイトジャンクション蛋白発現やBBB透過性にどのような影響を及ぼすのか(どの程度抑制するのか)を細胞培養系で検討した上で、新生児低酸素性虚血性脳症モデルを用いて、脳低温との併用も検討し、応用(臨床)的知見を得るものである。
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Causes of Carryover |
(理由)脳血管内皮細胞の刺激剤として、TNF-α以外に、IL-17も重要であり使用したが、上手く刺激が起きず、試行錯誤を繰り返したため。
(使用計画)報告者はこれまでに、脳低温療法による脳保護作用機序を、時系列的免疫細胞および脳血管内皮細胞連関に着目し、様々な時系列的炎症反応抑制に基づくニューロン死と脳血管内皮細胞死の抑制および脳血管内皮細胞の接着因子/ケモカイン発現の抑制の観点から示してきた。本研究は、本療法の改良や新規治療法への開発に向け、栄養学的見地からアプローチを行うものであり、EPAやDHA等のω3系多価不飽和脂肪酸(以下、ω3系脂肪酸)に着目する。具体的には、ω3系脂肪酸が上記の脳保護作用機序と同様な効果を示すのか、またその他、血液脳関門(BBB)を構成する脳血管内皮細胞のタイトジャンクション蛋白発現やBBB透過性にどのような影響を及ぼすのか(どの程度抑制するのか)を細胞培養系で検討した上で、新生児低酸素性虚血性脳症モデルを用いて、脳低温との併用も検討し、応用(臨床)的知見を得るものである。今後は、研究の遅れを取り戻すためにも、一部受託研究を依頼する予定である。
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Research Products
(1 results)