2020 Fiscal Year Research-status Report
敗血症における血管リモデリングを標的とした新規治療薬の検討
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19K09399
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
矢野 武志 宮崎大学, 医学部, 講師 (80521707)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年に世界的大流行となった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2021年5月現在、未だに収束の目処が立たない。多くの症例は軽症であるが、およそ2割の患者が重症化する。症状は多彩で、臨床的には重篤な呼吸不全が問題となる。COVID-19の重症化メカニズムに関して、現在までに様々な研究結果が報告されているが不明な点が多い。 研究代表者はCOVID-19診療に直接携わっており、呼吸療法を中心とした集中治療を専門としている。COVID-19患者の急性呼吸不全は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の診断基準と合致する。COVID-19由来のARDSと、COVID-19以外のARDSでは、多くの点で類似していると考えられている。実際のところ、研究代表者が遭遇したCOVID-19患者においても、従来経験した敗血症由来のARDSと似た臨床経過を認めた。 COVID-19では回復後に後遺症を認める。重症化例ほど後遺症の発生率が高い。敗血症においても遷延する機能障害が問題となっているが、COVID-19では報道が活発であるためより注目度が高い。COVID-19は様々な点で敗血症と類似するため、後遺症あるいは機能障害の遷延が生じるメカニズムには、組織リモデリングが関連していると予想される。本研究は、敗血症やCOVID-19の治癒過程で生じるリモデリングに着目し、さらに有害なリモデリングを制御し得る新規治療薬を開発することを目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19診療に直接的に従事したため、実験方法の確立や整備に要する時間の捻出に手間取った。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19診療に関連した資料を活用し、また敗血症モデルである培養細胞および実験動物を用いて生化学的および遺伝子学的実験を行い、組織リモデリングに関して、臨床応用を目指した検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行によって学会参加等の出張が予定通り行われず、旅費の支出が大幅に減少し、結果として次年度使用額が生じた。
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