2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K09402
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
川井 廉之 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90445073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 章文 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 教授 (70536721)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 敗血症 / 迅速診断 / 16SrRNA / PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症の原因菌の同定には現在の検出方法では迅速性に欠ける。これには、現在の検出方法の多くで、細菌の増殖能に依存した培養による前処理が必要であることが一つの原因である。敗血症症例から得られた血液サンプルから迅速に原因菌を分子生物学的アプローチによって同定できない理由の一つは原因菌のDNA量と比較して、圧倒的多数存在するヒト遺伝子由来のDNAに対する非特異的反応があげられる。 本研究の目的は、敗血症患者からえら得た血液サンプルから迅速に原因菌するために、培養による増菌の過程を経ずに、直接原因菌の遺伝子を増幅する手法の確立を行うことである。 令和2年度は前年に引き続き非特異的反応を抑制し、細菌の検出感度を高める実験系の確立を進めた。特に、ポリメラーゼ由来の細菌DNAの混入が課題となったため、複数の細菌DNA汚染が少ないポリメラーゼの候補に対して、ポリメラーゼ由来の偽陽性を回避できる実験系について検討をすすめた。また、細菌DNAの偽陽性を抑制した条件下における抽出済みの細菌DNAに対する検出感度の検証をおこなった。この検出感度の条件において、ヒト遺伝子を背景とした場合の感度への影響を評価した。これを敗血症の代表原因菌であるE.coli, S. aureus, P. aeruginosaについて検証を行った。ここまでの実験経過について、プライマーデザイン方法の工夫と細菌DNAの非特異的反応の抑制した実験系における検出限界についての報告を、国内学会において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に作成したオリジナルにデザインしたユニバーサルプライマーに対して、3種に菌種に対して検出限界濃度の確認を行った。また、ヒト遺伝子を背景としたモデルを作成、同じく検出限界を確認し、概ね良好な結果を得ている。現在、他の細菌に対する汎用性についての確認が必要な状態である。 本研究で対象とした菌種ではまた前年度から継続して自施設における敗血症症例から臨床サンプルの収集とDNAの抽出および蓄積を継続して進めている。ただし、一部の試薬や消耗品の入手に時間を要することを経験している。
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Strategy for Future Research Activity |
実験用の市販ヒト血液と細菌の混合モデルを用いた実験を行う予定であったが、コロナ流行下による世界的な物流低下の影響によって試薬の入手に影響がでている。このため、試薬入手に時間を要するようであれば研究期間の延長が必要になる可能性がある。 次いで、確立された検出方法を用いて、すでに蓄積ずみの臨床サンプルに対する検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究課題は探索探索的な研究であるため、実験結果により利用する試薬等に影響がでる。このためその都度、購入手続きが必要となり結果として試薬購入に時間がかかる背景を有する。特に昨今のコロナ流行下において、海外から購入する実験用血液の購入には海外の都市のロックダウンの影響を大きく受け、納品までに数ヶ月の遅延が生じそれを用いた実験の計画に遅延が生じる状況である。しかし、実験計画全体としては概ね計画通り進んでいるため、全体の使用額には大きな影響はないと考えている。
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Research Products
(2 results)