2022 Fiscal Year Research-status Report
災害救出現場におけるトリアージ情報を遠隔多機関が把握可能なシステムの開発
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19K09404
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
山田 浩二郎 獨協医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40283436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 学 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60818582)
福島 憲治 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (80348284)
杉木 大輔 獨協医科大学, 医学部, 講師 (80524446)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トリアージタッグ / 災害医療 / 情報管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、日常利用されている宅配小包の追跡履歴確認などの機能を応用し、災害時に傷病者情報収集を複数箇所で記録しかつ情報入力にはQRコードを用いることで、ほとんどの機関・個人が現有し市販されている汎用機器を用い、低コストで導入可能なトリアージ情報管理システム(QRcodeDTT)を開発してきた。これまで実働訓練で試用し、現場本部 応急救護所における患者一覧表作成補助機能及び遠隔多機関における現場の傷病者情報の把握が可能であることを報告してきた。 当初QRcodeDTTはQRコード発行、集計閲覧管理機能を事前に単独消防組織に供与する体制とし、単独災害における傷病者情報収集機能を実装、さらに同時複数組織に提供可能な体制を整備してきた。しかしながら、複数の消防組織が同時に一つのエリアに参画するような大規模災害の集計には未対応であった。本研究は機能実装について隣接する地域の複数消防組織および医療機関へのサービス提供時管理方法、複数個所災害発生時への対応などの課題について整理し、その対応優先度を検討しシステムへの実装を試みるものである。 解決策として別個の災害毎に集計可能であるデータベースとするために、事前に複数のデータベースを提供する、あるいは特定のシリーズのQRコードを個別災害ごとに割り当て配布する対応などがあげられる。しかしながら、QRコードは事前に救急隊へ配布されていることが必須であり、災害ごとに新たなシリーズのコード配布は困難かつ過誤の原因となりうる。これらのことから一つのデータベースを複数のユーザーで利用する方式が有効であると判断し機能実装の方向性を検討し発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度には、供与するデータベースにデータ抽出機能を実装し、同一組織が通年的に利用可能とした。令和3年度は、GPS情報、抽出時間情報を持つ災害エリア登録およびエリア別集計機能を実装し、同一組織における同時複数発生災害に対応可能とするシステム要件を備えた。さらにデータベース検索編集範囲を他組織管理部分まで拡大する広域災害モードを実装し、中規模災害など複数組織が同一災害エリアで活動する状況でも集計可能とした。 このためデータベース設計を全面的に再構築することが必要となりシステム作業に大幅な時間を要したが、令和4年度の研究遂行により他機関に試用を依頼できる段階に到達したと判断している。 一方令和3年度当初より感染症の流行のため屋外における実動訓練における試用提供が困難となった。そこで令和4年度より、研究者らが所属する地域消防組織職員を対象としたシステム説明会をWEB上で開催しており、令和5年度も引き続き説明会開催を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
感染症の発生がもたらした研究を取り巻く環境の変化により早期の実動訓練再開は難しいと予想される。現況を鑑み、令和5年度はシステム使用説明資料をブラッシュアップすること、令和4年度にWEB上で実施した説明会において参加者によるデータ入力及びシステムによる傷病者データ収集機能の概要を調査報告として関連する学術雑誌に投稿中である。 令和5年度はシステムへの機能実装としてGPS情報を持たない傷病者を未分類群とし、該当傷病者をマニュアル的に特定の災害エリア(グループ)に定義しなおす機能、さらに災害毎に関連する情報を集約する掲示板の開発・実装を目指す。 将来的課題としてインターネットが利用できない状況への対応がある。この解決策の一つとして縮退環境を構築しその環境では災害局所で情報収集し、IT通信が回復した時点で データをサーバーへ送信するアプリケーション(windows10対応)開発の方向性を引き続き検討していく。 研究期間を更に1年延長し令和5年度は上記について取り組むことを計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症発生継続に伴い実動訓練実施は困難となっていること、また研究者による事務手続きの遅滞に起因し、令和3年度の研究費執行手続きが円滑に進まなかったことより、研究期間の延長を行った。令和4年度はシステム改善の結果をもとに、利用方法も含めた使用説明会を継続して実施し、それらの結果を現在投稿中であるため、さらに研究期間を令和5年度まで延長した。なお令和5年度ではシステム仕様の改善及び研究成果公表のために研究費を使用する。
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Remarks |
2016年度から2022年度の成果をHP上で公表している。
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Research Products
(3 results)