2019 Fiscal Year Research-status Report
重症熱傷におけるグリコカリックスからみた血管内皮障害メカニズム解明と制御法の確立
Project/Area Number |
19K09413
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大須賀 章倫 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (60552081)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 裕司 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10791709)
岡田 英志 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (30402176)
清水 健太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60379203)
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70301265)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | グリコカリクス / 血管内皮 / 熱傷 / ショック |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、重症外傷後の侵襲に対する免疫応答と血管内皮障害について世界に先駆けて研究を進めてきた。しかし、侵襲後に生じる免疫応答の変化が血管内皮障害・血管透過性亢進を引き起こすメカニズムに関して未だ十分には解明されていない。ショックの本態は末梢の循環不全であると考えられており、血管内皮にはグリコカリックスと呼ばれる糖タンパクが存在する。我々は熱傷受傷後の患者ではグリコカリックスの脱落が受傷早期に起こり、損傷の程度よりも年齢と相関し、蘇生輸液量の増加と関連することを世界で初めて報告した(SHOCK 2018)。さらに熱傷受傷後には腸管のダメージが受傷直後から発現しており、多臓器不全の進展に関与している可能性があることも報告してきた(BURNS 2017)。 現在動物モデルを用いて重症熱傷後に生じる血管内皮グリコカリックスの損傷の程度を直視下に観察している。熱傷受傷後、数時間おきに血管内皮を電子顕微鏡で観察したところ、受傷直後より血管内皮グリコカリックスが脱落していることが分かった。さらにこの脱落の程度は臓器により異なることも分かってきている。心臓、腎臓、肝臓においてはグリコカリックスは顕著に脱落が起こるが、このグリコカリックスの脱落が肺では起こらないことが繰り返し示されてきている。直視下に観察するという方法は極めてインパクトがあるが、今後は定量的な評価も加えて、紙上発表に向けての準備を進めている。さらには種々の薬を用いて血管内皮グリコカリックス損傷を防ぐことにより、多臓器不全への進展を防ぐ治療法を模索中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱傷受傷後の経時的な血管内皮の観察を各臓器において行った。この結果は日本救急医学会総会のシンポジウムにおいて発表した。現在これらの損傷を防ぐ薬を投薬する実験を計画中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
動物モデルにトロンボモデュリン、抗IL6抗体等を投与して血管内皮グリコカリックスの損傷の程度を経時的に観察していく。定性的な評価法はほぼ確立しているが、定量的な評価法につき現在他の血中マーカーの動向を観察している。
|
Causes of Carryover |
COVID-19の蔓延に伴い年度末の国際学会が中止になったこと、および実験が滞ったことが大きな要因である。現在少しずつ再開しており、今年度は国際学会にも積極的に参加予定である。
|
Research Products
(1 results)