2021 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性脳症の発症メカニズム解明とIL-18をターゲットとした新規治療戦略
Project/Area Number |
19K09414
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小谷 穣治 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (80360270)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 敗血症性脳症 / IL-18 / 長期予後 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症誘導後、マウスの脳を30日目まで経過時間的に採取し、炎症・抗炎症性サイトカインを測定した。炎症性サイトカインであるIl-1β、Il-17は敗血症誘導から8日目において高値であり、その後、低下した。しかしながら、Il-18については、このタイムコースでは変化が認められなかった。一方、抗炎症性サイトカインは、Il-10は8日目において低値、その後、回復した。 また、脳の細胞分布の解析では、マイクログリア、アストロサイト、好中球、単球、およびγδT細胞が敗血症誘導、ただちに増加した。これらの細胞は、いずれも炎症応答を惹起することが知られている。CD4+ T細胞は緩徐に増加し続けたのに対し、CD8+ T細胞は定常値に回復した後は一定であった。脳内に増加したCD4+T細胞の一部は制御性T細胞であったことが分かった。FTY720の連続投与により脳へのリンパ球浸潤を阻害させたところ、敗血症マウスに認められる不安様行動の回復が遅れた。 敗血症誘導から一週間後にマウスの認知(新奇探索試験)・精神(強制遊泳試験、ビー球埋め試験、オープンフィールド試験)・運動機能(握力、トレッドミル試験)を評価したところ、いずれの項目においても顕著な低下が認められた。敗血症誘導から半年以上経過した敗血症マウスは、有意な差は認めなかったものの、生存率は70%まで減少した。新奇探索試験において敗血症マウスではRecognition indexの有意な減少を認め、海馬CA1領域における神経細胞数の減少も認めた。運動機能は、誘導から12ヶ月後、18ヶ月後では敗血症マウスで顕著に減弱していた。18ヶ月の時点でマウスを麻酔下で犠死せしめ、前脛骨筋を摘出した。対照群と比較して敗血症群では、前脛骨筋重量の有意な減少を認め、筋細胞の直径を示すCross-section areaが顕著に減少していた。
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