2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K09417
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒子 洋介 岡山大学, 大学病院, 講師 (20459184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 秀二 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (80443498)
笠原 真悟 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90233692)
小谷 恭弘 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (90534678)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心筋虚血再灌流障害 / β3受容体作動薬 / 心臓マイクロダイアリシス / ミオグロビン / カテコラミン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年アドレナリン受容体の一つであるβ3受容体作動薬が心筋の虚血・再灌流障害に対して保護的に作用するとの報告がある。本研究は心臓マイクロダイアリシス法を用いてin vivoで虚血・再灌流領域における心筋間質のカテコラミンやミオグロビンを測定し、β3受容体作動薬がどのような役割を担うのかを解明するのが目的である。 実験はラットを用いて行う。麻酔下にラットを開胸し心臓表面の冠動脈にスネアをかけて心筋の虚血領域を確認したのち、その部位へマイクロダイアリシスプローベを埋め込む。プローベに灌流液を流し、心筋の虚血再灌流を行い、それぞれの灌流液を測定する。プローベに流す灌流液にβ3受容体作動薬を含むものと含まないものを使用し、その灌流液中のミオグロビンやカテコラミンにどのような違いがみられるかを調べる。 2019年度はシステムの構築およびコントロール群としてのミオグロビン測定を行い、心筋虚血および再灌流で灌流液のミオグロビン値が上昇していることを確認した。 2020年度は高速液体クロマトグラフィーを購入し、カテコラミン測定を行った。心筋の虚血により著明に心筋間質のノルエピネフリン濃度が上昇することを確認した。 2021年度は実際にβ3受容体作動薬を投与しミオグロビンやノルエピネフリンを測定しコントロール群と比較する予定であったが、COVID-19の影響で実験の中止や停止、延期を余儀なくされ現時点で十分なデータが得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は今までの実験系にβ3受容体作動薬を使用し、ミオグロビン・ノルアドレナリンを測定し薬剤の効果を判定する予定であった。しかしコロナの影響で研究自体ができず、また何度も中断を余儀なくされ、十分なデータが集まっておらずやむを得ず次年度に研究を持ち越すこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
β3受容体作動薬を使用し、心筋の虚血再灌流障害でミオグロビン・ノルエピネフリンの上昇が抑制されるかどうかを測定する。さらに下記の3点についての実験も行う。 1.β3アドレナリン受容体を介した心筋保護作用にはNO系が関与していることが報告されていることから、β3アドレナリン受容体とNO系との関連を検証する。前述の実験システムを使用し、L-NAMEなどのNO合成酵素阻害薬を使用してミオグロビン・カテコラミンの反応をみる。 2.β3アドレナリン受容体作動薬がチラミンによる神経終末からのノルエピネフリン分泌を抑制させることが示唆されていることから、前述の実験システムでβ3アドレナリン受容体作動薬とチラミン使用によるミオグロビン・カテコラミンの反応をみる。 3.β3アドレナリン受容体作動薬が神経終末におけるノルエピネフリンの再取り込みに及ぼす影響を検討する。前述の実験システムでβ3アドレナリン受容体作動薬とデシプラミンを使用してミオグロビン、カテコラミンの反応をみる。
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