2021 Fiscal Year Research-status Report
肺動脈平滑筋細胞内シグナルに着目したARDSによる肺循環障害の新規治療標的の探索
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19K09422
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
金丸 栄樹 横浜市立大学, 医学研究科, 共同研究員 (50793494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 陽 横浜市立大学, 医学研究科, 客員講師 (00596413)
東條 健太郎 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80737552)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ARDS / 肺高血圧症 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性呼吸促迫症候群(ARDS)において,肺高血圧の合併が組織傷害を増悪する原因となっているかを明らかにするために,2020年度までにラットに対してモノクロタリン筋肉内投与とリポポリサッカライド(LPS)気管内投与を併用することによって,肺高血圧症合併ARDSモデルを構築していた。2021年度にはこのモノクロタリン+LPS投与肺高血圧症合併ARDSモデルにおける血行動態,動脈血酸素化等の生理学的評価に加え,気管支肺胞洗浄液(BALF)の評価による肺胞組織傷害,炎症マーカーの評価を行った。 モノクロタリン投与をされたラットは明らかな右室圧増加をきたしており,LPSの気管内投与もわずかではあるが相加的に右室圧を増加させたことから,肺高血圧症合併ARDSモデルの構築ができていることが確かめられた。また,動脈血酸素化についてはモノクロタリン投与,LPS投与はそれぞれ相加的に動脈血の酸素化を悪化させることが明らかとなった。気管支肺胞洗浄液中のsRAGE,ICAM-1の2つの肺組織傷害マーカーをELISA法で定量を行ったところ,モノクロタリン投与,LPS投与はそれぞれのマーカーを増加させたものの,モノクロタリン+LPSの両者を投与しても,それぞれの単独投与と比較しても,明らかな増加を来さなかった。一方で,BALF中の炎症性サイトカインTNF-α,IL-1βについては,LPS投与によって著名な増加を来したものの,モノクロタリン投与はわずかな増加を引き起こすのみであった。 以上から,当初の予想とは反し,ARDSにおける肺高血圧症の合併は明らかな肺胞組織傷害の増悪因子とはならない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LPS投与ARDSモデルにおいては著明な右室圧の増加が認められず,モデル構築に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ARDSにおける肺高血圧症の合併がもたらす病的意義について,肺の病理組織的な解析を追加するとともに,肺以外の臓器にもたらす影響を検討する予定である。また,病的意義を明らかにした後には,ARDSにおける肺高血圧,右心不全のメカニズムについても検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
肺高血圧合併ARDSモデルの構築に時間を要し,その病的意義及びメカニズムの解析が当初の予定よりも進まなかったため,次年度使用額が生じた。今後,肺のみに留まらない肺高血圧症合併の病的意義の解析とメカニズム解析の実験のために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)