2019 Fiscal Year Research-status Report
Study for the mechanism of brain dysfunction in patient with post intensive care syndrome after sepsis
Project/Area Number |
19K09425
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木下 浩作 日本大学, 医学部, 教授 (90260968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 智志 日本大学, 医学部, 助手 (10811581) [Withdrawn]
山口 順子 日本大学, 医学部, 准教授 (50570511)
千葉 宣孝 日本大学, 医学部, 助教 (30535175)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳萎縮 / 敗血症 / 二次性脳損傷 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
集中治療室を退室した重症患者に認められる集中治療後症候群(post intensive care syndrome; PICS)の病態と具体的な原因についての研究は少ない。本研究の目的は、敗血症患者で認められる二次性脳損傷の原因として、高血糖や各種メディエーターが関係していることを明らかにすること、および血中HMGB1がNSE、IL-6と二次性脳損傷(脳器質的障害:脳萎縮)の程度と相関し、神経学的転帰と関連していることを証明することである。臨床的に、敗血症患者における高血糖や各種メディエーターが二次性脳損傷の進行の一因になり、脳器質的障害としての脳萎縮が発生していることを明らかにした研究は未だない。 本研究では、敗血症患者を対象に、エントリーされた患者数は、112例であった。このうち意識障害を認めた症例は88例(79%)で、意識障害をきたしていない症例は、24例(21%)であった。これらの症例の年齢(76.5歳vs67歳)、APACHE II score (27 vs 17)、ICU滞在日数(8日vs4日)であり、有意に意識障害を有する患者で高かった。一方、入院時と2週間後の脳萎縮の指標である頭部CT上から算出するbicaudate indexを計算すると、これらの症例では有意に高値(脳萎縮を示す)を示した。 本研究に組み入れた症例では、研究計画書に従い末梢血を採血し検体保存している。今後Bioplex Bio-Plex Pro アッセイ を用いてIL-1β, IL-2, IL-4, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-10, IL-12 (70), IL-13, IL-17, G-CSF, GM-CSF, IFN-γ, MCP-1 (MCAF), MIP-1β, TNF-αとHMGB1, NSEを測定するために前処理を行い、次年度における測定の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行するために使用する研究施設・設備・研究資料等、現在の研究環境の状況として、既に、関連研究と本研究の予備研究が行われ、現在まで順調に進んでいる。研究施設は大学併設の施設と設備を用いている。研究体制は、予定通り、研究代表者および分担研究者と、専属研究補助員から構成し、本研究を開始するにあたり、試薬の調整、ELISA法やBio-Plex Pro アッセイ(17-Plex Panel(M50-00031YV); Bio-Rad Laboratories;IL-1β, IL-2, IL-4, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-10, IL-12 (70), IL-13, IL-17, G-CSF, GM-CSF, IFN-γ, MCP-1 (MCAF), MIP-1β, TNF-αなど)の測定にかかわる準備は整った。本研究に必要な患者エントリー数と組み入れ数と脳萎縮やその関連病態についても、仮説通りの結果を得ている。概ね順調に進展している。 役割分担も研究代表者は、本研究の統括・計画および統計処理を行い、患者組み入れ・同意取得および検体採取は、分担研究者が行った。専属研究補助員は、各種測定を行う予定である。なお、診療勤務態勢が変則2交代のため、2名の分担者が同じ業務を行った。研究代表者および分担研究者、専属研究補助員は、同じ部署で勤務しており、常時併設の研究室で研究内容と研究結果についての討議を常に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、敗血症患者で認められる二次性脳損傷の原因として、高血糖や各種メディエーターが関係していることを明らかにすること、および血中HMGB1がNSE、IL-6と脳萎縮の程度と相関し、神経学的転帰(CPCおよび機能的自立度評価法:Functional In- dependence Measure, FIM)と関連していることを証明することである。臨床的に、敗血症患者における高血糖や各種メディエーターが二次性脳損傷の進行の一因になり、脳器質的障害としての脳萎縮が発生していることを明らかにした研究は未だない。 現在、症例数をさらに増やし、保存検体からのバイオマーカーの測定を計画している。検査ラインは確保されており、予定通りの進展である。今後、敗血症早期の過剰な炎症反応と、同時に存在する侵襲性高血糖が多臓器に障害をもたらし、脳を含めた二次性脳損傷を増悪させることを証明し、神経学的転帰不良群においてHMGB1とNSEが正の相関を示すことを明らかにする。これらの病態が、高血糖により悪化することを示すことができれば、新たな治療目標を示すことができる。HMGB1はそれ自体、血管透過性亢進や血液脳関門の傷害をおこし、全身の炎症反応が脳内病態悪化の一因となる。本研究では、過大侵襲時のHMGB1とNSEとの相関性および脳萎縮との関連性を証明し、敗血症での脳傷害の病態生理と、敗血症初期の高血糖管理が長期的な神経学的転帰改善のための治療法に繋がる可能性を示すことができれば、社会に資する結果となる。
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Causes of Carryover |
昨年に予定していたバイオマーカーの測定は、経費削減のため一括して今年度測定することとたため、次年度使用額が発生した。(測定予定しているバイオマーカー:IL-1β, IL-2, IL-4, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-10, IL-12 (70), IL-13, IL-17, G-CSF, GM-CSF, IFN-γ, MCP-1 (MCAF), MIP-1β, TNF-α、HMGB1, NSE) バイオマーカー測定に係わる体制は既に確立しており、専属研究補助員が各種測定を行う(専属研究補助員の業務により、代表者・分担者のエフォートの軽減に役立てている。)。専属研究補助員は、同じ部署で勤務しており、常時併設の研究室で研究内容と研究結果についての討議を行い、関連研究と本研究の予備実研究については、上記の実績があるため、これらの遅れに関する問題はない。
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