2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel screening technique for the rapid identification of poisoning cause for the emergency and critical care of the natural toxin poisoning cases
Project/Area Number |
19K09428
|
Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
太田 彦人 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (40392261)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮口 一 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (10370884)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 自然毒 / 中毒 / 高感度LC-MS/MS一斉検出 / スペクトルデータベース / 毒草 / 毒キノコ / 毒魚 / カエンタケ |
Outline of Annual Research Achievements |
2年度目となる2020年度は、前年度に引き続き、日本国内の主要自然毒成分総計90成分に加え、国内外を問わずかつ既知中毒事案の有無を問わず、国際的に活用可能な自然毒自動検出データベースの構築を目的として、全地球的に毒草、毒キノコ、毒魚カビ毒等全ての自然毒を網羅すべく、昨年度の288種の自然毒に追加して、合計約300種類の自然毒を単離、合成もしくは入手し、主カラムとして逆相分離カラム(水溶性のものが先に溶出)、及び補助分析用カラムとして順相分析カラム(脂溶性のものが先に溶出)による高感度LC-MS/MS一斉検出条件を構築し、どの自然毒が混入していても高感度LC-MS/MS検出を可能とした。さらに現在まで上記自然毒約300種について、複数の衝突エネルギーと保持時間を指標とした自動検出用スペクトルデータベースの構築を行った。またこの過程で、原因となる自然毒が明らかになっており中毒件数が多いあるいは死亡件数が多いにも関わらず、分析法も市販標準品もない毒キノコであるカエンタケ、ツキヨタケ、ニセクロハツについて、中毒原因自然毒の単離及び生体試料、キノコ試料の中毒分析法の新規開発も行った。そのうちカエンタケ分析法については、研究成果が中毒専門英文誌にオープンアクセスで掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は実際に世界中の全自然毒の収集、超高感度LC-MS/MSを用いた一斉自動検出技術の構築、及び同じ装置を用いた生体試料等からの自動検出実験の3段階で構成され、2020年度は検出技術を完成させ実試料からの検出実験に移行する予定であった。しかしこれらはいずれも、LC-MS/MS実機を直接操作しての膨大な分析実験が必須である。しかし2020年度は、1月から新型コロナの影響が始まり、年度の始まった4月からほぼ年度内は、度重なる緊急事態宣言やそれに伴う厳重な出勤抑制に伴い、平日のかなりの日数自宅でのテレワーク勤務を余儀なくされ、自宅ではデータ解析やモニタ用イオンの構造解析程度しかできず実機可動時間が大幅に削減されたため、一斉自動検出技術の構築作業で終了し、実試料検出実験までは届かなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、コロナで遅延している生体試料への添加検出実験を行う。300種の自然毒について、同じ有毒動植物に由来するものどうしでグループ分けを行い、最も分析が難しいヒト全血にグループ単位で添加を行い、先に構築した自動検出技術を用い、最も多くの毒を検出できる一斉前処理・抽出・クリーンアップ法を模索する。まずは既に予備実験で良好な結果を得ている弱酸性QuEChERS法、弱塩基性QuEChERS法、完全無水QuEChERS法の三種から検討を開始する。
|
Causes of Carryover |
本研究は実際に世界中の全自然毒の収集、超高感度LC-MS/MSを用いた一斉自動検出技術の構築、及び同じ装置を用いた生体試料等からの自動検出実験の3段階で構成され、2020年度は検出技術を完成させ実試料からの検出実験に移行する予定であった。しかし2020年度は、1月から新型コロナの影響が始まり、年度の始まった4月からほぼ年度内は、度重なる緊急事態宣言やそれに伴う厳重な出勤抑制に伴い、平日のかなりの日数自宅でのテレワーク勤務を余儀なくされ、LC-MS/MS実機を直接操作しての膨大な分析実験のための実機可動時間が大幅に削減されたため、これらの実験に必要であった試薬や消耗品の消費額も当初の予定を下回ったため。
|