2020 Fiscal Year Research-status Report
中枢性メラトニン/mTOR交叉経路に着目した高齢者くも膜下出血の病態制御への挑戦
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19K09429
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 修三 東北大学, 大学病院, 助教 (90421180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 達士 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (80462472)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | くも膜下出血 / 早期脳損傷 / 神経保護 / ラパマイシン標的タンパク / 遅発性脳虚血 / 心臓・肺合併症 |
Outline of Annual Research Achievements |
くも膜下出血(Subarachnoid Hemorrhage;SAH)は脳卒中における突然死の原因の第1位である。高齢化社会からさらに進展し現在の日本は世界が経験したことのない超高齢化社会を迎えつつある。当然SAHの発症年齢のピークも高齢へシフトしている。 しかし高齢者は根治術を行うことが出来ても多くの既往症、並存症のため術後管理に難渋することがしばしばであり、重篤な神経学的脱落症状を残存させてしまうことになる。 我々はSAH発症後2週間以内に起こりうるSAH最大の予後規定因子である遅発性脳虚血(DCI)の抑制のためにそのメカニズムの解明と治療薬の開発の研究を行って いる。 このために高齢者モデルのマウスを用いてSAH直後の脳循環動態と酸素代謝のモニタリングを無侵襲で行える機器を導入した。そしてDCIの最大の原因となっている早期脳損傷に対して我々が注目しているラパマイシン(RAP)を投与し十分な脳保護効果をもたらすか否かを検証する。RAPは哺乳類RAP標的蛋白質(mTOR)の特異的阻害剤で抗菌作用、オートファジー促進作用、抗炎症作用、免疫抑制作用など多面的な効果を持つとされる薬剤である。 また最近のEBIに関する研究ではmTOR経路とJAK/STAT3経路とERK1/2経路の間にcross talkが存在し何等か保護的に作用をしている可能性をin vitoroの実験で報告されており、これらの交差経路を明らかにすることでさらに脳神経保護作用の機序を解明、発展させin vivoの実験で検証、証明したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに通常マウスによる超音波、MRIによる生体イメージングによるモニタリング方法を確立した。 またSAHモデルマウスの作成訓練を十分に行いこの技術を習得した。 動物実験のプロトコルを作成した。 2020年COVID-19による実験を行う施設との往来、実験器具の利用、自施設の感染症対策による活動の制限などのため研究が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19が落ち着き実験施設確保後の協力頂ける学外施設使用に問題なければ ①SAH発症の全脳での循環動態を把握する機器(MRI、光音響脳イメージング、無侵襲リアルタイムモニタリング)を用いて解析を行う。②SAHの予後規定因子であ るEBIの誘因と症状について検討。③最後にRAPの投与によりどれほど神経保護作用・脳保護が得られるか検討する。
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Causes of Carryover |
実験用顕微鏡の購入を計画したが初年度の予算では不足したため次年度の予算と併せて購入予定としたため。
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[Presentation] 非痙攣性てんかん重積の早期診断にMRI-ASL灌流画像が有用であった症例2020
Author(s)
山本修三, 武藤達士, 舘脇康子, 高野由美, 鶴谷尚信, 渡部憲昭, 斎藤博, 米谷元裕, 荒井啓行, 瀧靖之, 安井信之.
Organizer
第39回日本認知症学会学術集会(名古屋) 2020年12月24日
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